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JRA感動呼んだ「ユタカコール」ですら賛否両論!? かつての当たり前が現在は非日常に…改めて問われるマナーとルールの解釈

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競馬つらつらより

 ようやく競馬界に日常が戻ってきた――。

 5月29日に行われた競馬の祭典、日本ダービー(G1)。多くのファンが詰めかけた東京競馬場は、気温の上昇も相まって、コロナ禍前のような熱気に包まれた。

 2年前は無観客、昨年は4367人しか入場できなかったダービー当日の東京競馬場。今年はJRAが入場者数の制限を大幅に緩和したこともあって、6万人以上がレースを見守った。

 ご存じのように、レースは武豊騎手とドウデュースがゴール前の激戦をクビ差で制し戴冠。最後の直線では大きな拍手、そして地鳴りのような大声援が競馬場に響き渡った。

 レース後、ウイニングランでスタンド前に戻ってきた武騎手の耳に届いたのは、“ユタカコール”だった。3年前までは当たり前の光景だったはずだが、これに違和感を覚えたファンもいたようだ。

かつての当たり前が現在は非日常に…

「JRAは大声をあげての声援は認めていないはずだけど……。競馬ファンにモラルはなかったの?」、「スタンドはまさに三密状態。競馬観戦で感染したらシャレにもならん」、「ルールを守らない競馬ファンの民度の低さよ……」など、SNSでは愚痴とも嘆きともとれる否定的な意見が多く書き込まれた。

 一方で、正反対の意見も見られた。

「あの場にいて声を出すなというのは無理ゲー」、「そもそもコロナが怖かったら競馬場には行かないでしょ」、「最低限マスクはしているんだし、いいかげん日常を取り戻そうよ」など、容認派の意見も少なくなかった。ネット上はまさにコロナ禍を象徴するような賛否が飛び交う状態となった。

「JRAは入場者に検温を実施していますし、マスク着用も必須。死語となりつつある“三密”回避も呼びかけています。少なくとも建前上は『できるだけ声を出さずに拍手などで応援してください』ということですね。そうはいっても、“年に1回のお祭り”で静かに観戦しろというのも、現地のファンにとってはなかなか難しいでしょう」(競馬誌ライター)

 オークスの時は発走直前に放馬のアクシデントもあり、レース前に多くの馬が体力を消耗。スタンド前からの発走ということもあって、声援をあげることに対して批判的な論調が大半だった。ところが、ダービーでは千両役者の武騎手が熱戦を制したこともあり、一転、「大声を上げるのは仕方なし」という論調が目立った。

「当然ルールやマナーはしっかり守らなければいけません。しかし、そこは生身の人間。制御が難しいことも当然あります。ただ一つ言えることは、お互いの意見に耳を傾ける、相手を思いやる。そういうことではないでしょうか」(同)

 コロナ禍において、100点満点の回答はないであろうこの問題。ただ、全員に共通しているのは、「早く日常を取り戻したい』という思いを持っていることのはずだ。競馬ファンならいつでも行きたいときに気軽に競馬場に行く。そして声援を送る。そういう日常が一日も早く戻ってくることを願ってやまない。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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