JRA武豊、C.ルメール復権の裏で「ラッキー男」に向かい風!? 「逆ソダシ」狙う安田記念(G1)でアノ騎手が引いたのは貧乏くじ?
史上最多6勝目のダービー勝利を掴んだレジェンドの「ユタカコール」に大観衆が酔いしれた今年の日本ダービー(G1)。6週連続怒涛の春G1も今週末の安田記念(G1)で中休み。上半期を締めくくる宝塚記念(G1)の開催まで、2週間の猶予がある。
22日のオークス(G1)で国内重賞の連敗記録に終止符を打ったC.ルメール騎手は、シュネルマイスターに騎乗予定。先週のダービーを制した武豊騎手は、ヴィクトリアマイル(G1)で2着に入ったファインルージュとのコンビを噂されている。
イクイノックスとドウデュースの鞍上として、死闘を繰り広げた両者の再対決も興味深い今年の安田記念になりそうだ。
その一方、ジオグリフで二冠獲りに失敗した福永祐一騎手の存在感が薄れつつある。
今年のG1で開幕戦のフェブラリーS(G1)をカフェファラオで制しただけでなく、皐月賞(G1)もジオグリフで優勝して2勝を挙げた。ここまで終了した春の平地G1において、2勝を挙げているのは、福永騎手と川田将雅騎手と吉田隼人騎手の3名。実績的には、これだけでも十分に素晴らしい。
だが、1番人気セリフォスに騎乗したNHKマイルC(G1)で4着に敗れて以降、4戦連続で見せ場なく敗れているのは少々気掛かりだ。
また、春G1でこれといったお手馬が不在ながら、他の騎手からの乗り替わりで有力馬に騎乗していたことも福永騎手の特徴といえる。先述したカフェファラオやジオグリフは、元々ルメール騎手のお手馬であり、セリフォスもまた初騎乗のコンビだった。
勿論、有力馬の陣営から騎乗依頼が回ってきた背景に福永騎手への信頼もあれば、しっかりと結果を残した手腕も見事である。ただ、勝ち負けの期待がある馬に騎乗出来たという意味では非常に「ラッキー」といえる。
「逆ソダシ」狙う安田記念(G1)で引いたのは貧乏くじ?
しかし、安田記念で騎乗予定のカフェファラオについては、そうとも言い切れない。
ダートのフェブラリーSを優勝したとはいえ、同馬の芝適性にはまだまだ疑いが残っているからだ。デビューから11戦のキャリアで、芝のレースに使われたのは、9着に敗れた昨年7月の函館記念(G3)のみ。トップハンデ58.5キロの斤量を背負っていたものの、これといった見せ場もなく凡走したことを考えれば、G3どころかG1のメンバーが集まる安田記念での前進は期待しづらい。
スピード決着のダートを得意とし、左回りのワンターンで無類の強さを誇る馬ではあるが、下馬評でもNHKマイルCで騎乗したセリフォスの方が、人気で上回っているのが現状だ。
救いがあるとすれば、フェブラリーSで破ったソダシが、芝のマイル戦に戻ったヴィクトリアマイルで巻き返しに成功したことくらいか。
とはいえ、冷静に振り返ってみると、こちらについては芝のG1馬である白毛の女王が、ダートより芝に適性のあることを証明したレースでもあった。仮にダートのG1馬カフェファラオが安田記念を勝つようなら、「逆ソダシ」といえそうな快挙となる訳だが……。
前走で手綱を取ったセリフォスに福永騎手も後ろ髪を引かれただろうが、今回は藤岡佑介騎手の再登板が予定されている。
勿論、出走するからには、陣営も勝算があってのもの。ここで勝利を手にして、福永騎手も再び上昇気流に乗ることが出来るか。それともただの「貧乏くじ」に終わってしまうのか。
名手の奮起に期待したいところだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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