
【ジャパンダートダービー(G1)展望】「芝の刺客」コマンドラインVS「ダート連対率100%」武豊ノットゥルノ!池添謙一絶賛ブリッツファング、無傷ハピなど好メンバー揃う

13日、大井競馬場ではジャパンダートダービー(G1、以下JDD)が行われる。今年の3歳ダート王決定戦は群雄割拠の楽しみなメンバーがそろった。
川田将雅騎手との初コンビで参戦してきたのは、ダート初挑戦となるコマンドライン(牡3歳、美浦・国枝栄厩舎)だ。
昨年6月の新馬戦を前に、鞍上C.ルメール騎手からは「来年(2022年)のダービーを予約しておきます」という発言が飛び出したほどの逸材。実際にデビュー戦を快勝すると、秋にはサウジアラビアロイヤルC(G3)も勝って2戦2勝。この時点では、日本ダービー(G1)の有力候補に挙げられていた。
ところが、3連勝を狙ったホープフルS(G1)で1番人気を裏切って12着に惨敗すると、始動戦となった毎日杯(G3)も8着。まさかの2連敗で世代トップクラスの評判馬は一気に脇役へと転落した。
さらにコマンドラインに追い打ちをかけたのが、今年の3歳牡馬クラシック路線が大混戦だったこと。重賞ウイナーにもかかわらず、なんとダービーでは2分の1の抽選。しかも悲運の抽選落ちで、ダービー不参戦というまさかの結果に終わってしまった。
たとえ出走していても、厳しい戦いを強いられていたのは間違いないが「ならば」と矛先を向けたのが芝ではなく、砂の3歳王者を決めるJDDだった。
父がディープインパクトということもあって、ダート適性には疑問の声も上がっているが、母系はゴリゴリの米国ダート血統。母のコンドコマンドは米国で8戦5勝の成績を残し、デビュー2戦目のG1(ダート1400m)では2着に13馬身半差をつける圧勝劇を飾っている。
コマンドラインの全姉トレデマンドもダートで2勝しており、砂に適性があっても不思議はない。残念ながら、ルメール騎手の“ダービー予約”は有言実行とはならなかったが、代わりに騎手リーディング首位を走る川田騎手が勝利に導けるか。
もしコマンドラインが勝てば、ディープインパクト産駒にとって初の地方でのG1勝利となる。
そのコマンドラインの最大のライバルになり得るのは、ハーツクライ産駒のノットゥルノ(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎)か。
デビューから6戦全てで武豊騎手が手綱を取ってきた金子真人オーナーの期待馬で、デビューから芝で2連敗を喫したが、3戦目のダート替わりで初勝利を挙げると1勝クラスも勝ち、2連勝を果たした。
その後は、伏竜S(OP)でデリカダに競り負けてダート転向後初黒星を喫すると、巻き返しを誓った兵庫CS(G2)では、早めに抜け出したブリッツファングに8馬身差をつけられ2着に敗れた。
前走は決定的な差をつけられたように見えるが、レース後の「大跳びで小回りは向きません」という武騎手のコメントから、広い大井競馬場に替わる今回は巻き返しに期待がかかる。
金子オーナーと武騎手のコンビは05年にカネヒキリでJDDを勝利しているが、あの時もデビューから2戦は芝で勝ち上がれず、ダート路線に転向してからの進撃だった。17年前の再現は果たしてあるか。
そのノットゥルノを8馬身差で破って臨むのが、ブリッツファング(牡3歳、栗東・大久保龍志厩舎)だ。
1月の新馬戦で池添謙一騎手を背に7馬身差をつける衝撃デビューを飾ったブリッツファング。2戦目のヒヤシンスS(L)は福永祐一騎手を背に1番人気に支持されたが、直線伸びを欠いてまさかの9着に敗れた。
再び池添騎手に手綱が戻った3戦目(1勝クラス)で2勝目を挙げると、続く兵庫CSを勝ってこれまで4戦3勝という成績でG1勝利をもくろむ。
その前走は好位追走から早めにスパート。4角手前で先頭に立つ積極的な競馬での楽勝だった。レース後には池添騎手から「大きなところを狙っていきたい」という発言もあり、ここでも主役候補の1頭なのは間違いないだろう。
父のホッコータルマエは日本競馬史上初のG1・10勝を挙げた砂の名馬だったが、2012年のJDDは6番人気で5着。本格化前だったとはいえ、案外な結果に終わっている。ブリッツファングは10年前の父の無念を晴らせるか。
デビューから3戦3勝と、未知の魅力にあふれるのはハピ(牡3歳、栗東・大久保龍志厩舎)だ。
前走・鳳雛S(L)を含めて3戦すべてで2着に0秒3以上の差をつけ、危なげない勝ち方を見せている。鞍上の藤岡佑介騎手は前走後「大きなレースを狙えるポテンシャルを持っている」とコメントしたように、重賞初挑戦でも好勝負は必至か。
ユニコーンS(G3)覇者のペイシャエス(牡3歳、美浦・小西一男厩舎)は、その前走がハイペースを4番手から押し切っての勝利。後方で脚を溜めた追い込み勢が台頭する中、価値の高い走りを見せた。前走から400mの延長となるが、1800mの1勝クラスを快勝しており、距離は問題ないだろう。
他のJRA勢は、ユニコーンSで2着のセキフウ(牡3歳、栗東・武幸四郎厩舎)と、昨年のJBC2歳優駿(G3)を勝ったアイスジャイアント(牡3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)が参戦予定。前者は距離、後者は状態に不安が残るが、ともに嵌ったときの末脚は魅力だ。
地方勢からは地元・大井のクライオジェニック(牡3歳、大井・藤田輝信厩舎)の名前を挙げておきたい。地方馬としては6戦3勝とキャリアはまだ浅く、自分の競馬ができないと脆さを見せる面もあったが、成長を示したのが前走の東京ダービー。それまでの先行策から一転、後方で脚を溜めると、メンバー最速の上がりをマークして2着に追い込んだ。大井2000mの好走経験を生かして上位進出を狙う。
今年もJRA勢の優位は変わらないが、抜けた存在がいないのも事実。混戦を断つのは果たしてどの馬か。JDDは13日、20時10分に発走を予定している。
PICK UP
Ranking
11:30更新「素行不良」で干された若手の更生に関西の大御所が名乗り! 福永祐一を担当した大物エージェントもバックアップ…関係者から「優遇され過ぎ」の声
【NHKマイルC(G1)予想】ジャンタルマンタルは皐月賞の反動があるとみて消し! 出走唯一の連勝馬に着目
横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- 「関東の問題児」がバチバチの叩き合いで痛恨の騎乗停止…被害馬の騎手からもクレーム? 降着の裁決に「迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ち」
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- セイウンハーデスにも襲い掛かった「不治の病」…“奇跡の復活”カネヒキリ以来の伝説に挑む
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- JRA「一寸先は闇」のような勢力図の激変…注目集めた若手同期の明と暗、あの「お騒がせ騎手」が佐々木大輔に続くブレイク?
- 横山典弘「27年ぶり」ドバイ決戦へ。「自分の命と引き換えに僕を守ってくれた」盟友ホクトベガの死で止まった時間…今度こそ無事完走を
- 武幸四郎騎手に横山典弘騎手が「絶叫」!? 武豊騎手が明かしたアノ復活劇でのエピソードに見る、弟のキャラクター
関連記事
JRA C.ルメール“国外逃亡”で責任回避!? 元ダービー馬候補「有言実行」懸かる背水の陣、大役任されたのは「鬼タックル」食らった因縁の相手
JRA C.ルメール「自信」の1番人気馬に大誤算!? 予約のダービーをまさかのキャンセル、「世代NO.1候補」に訪れた悲し過ぎる結末
JRA「一瞬しか本気で走っていない」陣営もダービー即断! 超大物が異次元の強さで3連勝、ジョッキーも「ポテンシャル高い」と太鼓判
JRA【函館2歳S(G3)展望】武豊「25年ぶりV」へ、新馬主インゼルレーシングに「電光石火」の重賞制覇をプレゼント!?
JRAサトノダイヤモンド「好敵手」が種牡馬ロケットスタート! 二冠牝馬との「ブランド血統馬」もスタンバイ、圧逃の師弟コンビはメモリアルV達成