真剣勝負の裏にある真実に斬り込むニュースサイト・GJ
GJ
真剣勝負の真実に切り込むニュースサイトGJ
NEW
2016.08.17 08:09
後世の名牝に「道」を示した女傑エアグルーヴ「名牝ダイナカールの孝行娘」の独り立ちは夏の風物詩・札幌記念から始まった
編集部
エアグルーヴ(JRA公式サイトより)
1997年の夏、札幌記念に一頭の牝馬が登場した。だが、その馬はまだ母仔2代に渡るオークス制覇を成し遂げた、名牝ダイナカールの孝行娘でしかなかった。
1996年のオークス馬エアグルーヴである。
3歳時のエアグルーヴは、当時からすでに高い完成度を誇っていた母とは異なり、非凡なポテンシャルを秘めながらも、どこか頼りない存在だった。チューリップ賞を5馬身で圧勝しながらも発熱で桜花賞に出られず、続くオークスを制したものの、どこか才能だけで勝ってしまったような感じだった。
実際に最後の一冠・秋華賞も、体調が整わずにステップレースが使えないまま直行。本番のパドックでは、ファンの激しいフラッシュに入れ込みが収まらず(以後、パドックのフラッシュ撮影は禁止になった)、挙句にはレース中に骨折して10着に大敗している。
そんな屈辱の秋華賞から約半年、マーメイドSから復帰したエアグルーヴはこのレースを楽勝。夏の北海道の風物詩・札幌記念へ駒を進めた。
しかし、超良血馬に武豊という組み合わせで過剰な人気こそあったものの、競馬ファンのエアグルーヴへの期待度はそれほど大きなものではなかった。
当時はまだ、牡馬が牝馬を圧倒している時代であり、クラシックを勝つような牝馬でも古馬になってからは、牝馬限定戦やメンバーの落ちる夏場の重賞で活躍するのがやっとというのが相場だったからだ。
例えば、オークスだけを見てもエアグルーヴの前年のダンスパートナー、前々年のチョウカイキャロルともに、古馬になってから牡馬を相手に上げた勝利はG3を1つがやっとという有様。3年前の2冠牝馬ベガに至っては、牡馬を相手に未勝利だ。
PICK UP
Ranking
17:30更新- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
関連記事
エアグルーヴの名血が引き寄せた「天命」により前代未聞のスタートを切った新種牡馬ルーラーシップ。偉大過ぎる「比較対象」と問われる「真価」
【徹底考察】宝塚記念(G1) ドゥラメンテ「失われた『信頼』と『屈辱』のファン投票6位。王者ドゥラメンテの『現状』を考察」
命と引き換えに産んだ「最後の仔」 競馬の常識を覆し、”血”を伝える『女帝』エアグルーヴ
【夏季特別企画】史上最強世代・最後の一冠『菊花賞の行方を占う』Vol.6「武豊に『フランスへ行きましょう!』と言わせた超良血馬が帰還!名牝エアグルーヴの末裔はラスト一冠に間に合うのか」
7冠牝馬・ウオッカは「弱かった」のか――。ライバルから逃げ、記憶と記録だけが独り歩き「府中番長」真の評価とは!?