
『伝説の阪神大賞典(G2)』――ナリタブライアンVSマヤノトップガン。激突した2人の「天才」だけが知る名勝負の「真実」

1996年、阪神大賞典(G2)。
後に「伝説のG2」や「土曜日史上最高のレース」と称されるレースだが、あれから20年が経った今でさえ「名勝負」といえば、このレースを上げる競馬ファンの数は決して少なくない。
96年3月9日。当時のJRAの「土曜競馬の充実を図る」という方針により、春の天皇賞への王道ステップとなる阪神大賞典は、まさかの土曜開催だった。
景気の良さも相まってJRAの年間売上は今の2倍近くになる4兆円を超え、競馬人気が絶頂だった頃、阪神競馬場に詰めかけた競馬ファンは約6万人。開催が土曜日であったことを考慮すれば、異常といえる客入りである。
そんな大観衆の視線は、やはり「2頭の年度代表馬」に注がれていた。
昨年、菊花賞(G1)と有馬記念(G1)を連勝し、まさにキャリアの絶頂期を迎えようとしていた1995年の年度代表馬マヤノトップガン。
そして、一昨年にクラシック三冠と有馬記念を制しながら昨年はケガに泣き、いよいよその復活が近付いているのではと噂されていたナリタブライアン。
レースは10頭立て。1番人気は勢いのあるマヤノトップガンで2.0倍。前年単勝1.0倍でこのレースを圧勝していたナリタブライアンがスランプ中にもかかわらず、復活を信じるファンに推されて、互角の単勝2.1倍で続いた。
マヤノトップガンに田原成貴、ナリタブライアンに武豊。新旧の天才は、どちらも腹の探り合いとなる長距離戦はお手の物だ。果たして、どんな勝負になるのか。レース前から、阪神競馬場はまるでG1……いや、G1さえも上回るような異様な雰囲気に包まれていた。
斤量こそ先輩ナリタブライアンが1kg重いものの、互いが菊花賞馬であるだけに、この阪神3000mという舞台はまさに絶好。旧王者が威厳を守りその”絶対性”を改めて主張するのか、それとも新王者が新たな時代の”幕開け”を高らかに宣言するのか――。
レースは、長距離戦としては一般的な緩い流れ。先行勢を見る形で好位を取ったマヤノトップガン。そして、それを見るように中団に構えるナリタブライアン。F1のフォーメーションラップのような独特の静けさを保ちながら、レースは淡々と進んでゆく。
レースは、2週目の第3コーナーに入る直前に動いた。マヤノトップガンが満を持して先団に取り付くと、そのまま先頭に躍り出たのだ。レースのペースが一気に上がり、漆黒の馬体を揺らせたナリタブライアンが、それに反応する形で進出を開始する。
ナリタブライアンが先頭に並びかけるのを待っていたかのようにマヤノトップガンが一段ギアを上げると、もう後続はついて行けない。まだ3コーナーを回った段階にもかかわらず、早くもレースは一騎打ちの様相を呈してきた。
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