JRAの名門・松田国英厩舎が重賞勝ち「0」に「1月以降・出走ナシ」の衝撃。 助手が「未成年買春」で逮捕されるなど、低迷に歯止め掛からず……
ところが今年は、その重賞勝ちが「0」という状況。それだけならまだ調子が悪い程度で済む問題かもしれないが、重賞への出走自体が激減しているから深刻だ。平地重賞に限れば、1月の東海S(G2)へ出走したのが最後。それも出走馬は14番人気で13着に敗れている。
1999年の1月に重賞初勝利(シンザン記念(G3)フサイチエアデール)を上げてから、ほぼ毎年のように重賞ホースを輩出してきた松田国厩舎。当然ながら、その分数多くの重賞レースに管理馬を出走させてきたが、ここ2年は年間1ケタに落ち込んでいる。
一体、何があったのだろうか。
松田国調教師というとキングカメハメハやタニノギムレット、クロフネといった歴史的名馬を手掛けた一方で、これらの馬が故障と共に早期引退したことから、ファンの間では「クラッシャー」と不名誉なあだ名が付けられていることも有名だ。
「クラッシャー」とは文字通り”壊し屋”であり、いわゆるスパルタ調教で特出した名馬を輩出する一方、その負荷に耐えきれず故障させてしまう馬も少なくはなかった。
だが、それこそが”マツクニ流”であり、本人も「もっと馬を強くしようと思ったら、調教で壊れるか壊れないかのギリギリのところまで負荷を掛けなければなりません」「馬が壊れた時の損失が、どれだけ大きいかを知っています。だから、どうしても安全な方に行きたがる。しかし、それでは強い馬をつくれません」と確固たる信念を持ち、同時に数多くの成功も収めてきた。
しかし、当然ながら最も大きなリスクを支払うのは、他ならぬ馬主である。
そのためハイリスク・ハイリターンの”マツクニ流”を敬遠する馬主も少なくなく、それが低迷のきっかけになったと話す人も多い。例えば、厩舎の代表馬となるキングカメハメハやクロフネは、いずれもディープインパクトでお馴染みの金子真人オーナーの所有馬だが、現在の松田国厩舎に金子氏の所有馬は1頭もいない。
また、「フサイチ軍団」の総帥として、毎年のように高額馬を落札していた関口房朗氏が、業績不振により馬主業から撤退したことも低迷に拍車を掛けた。