JRA「ウオッカ産の星」タニノフランケル「道悪良績」重賞初制覇へ……人気する理由
ウオッカは引退後、アイルランドに繋養され繁殖生活を送っていた。今年の2月、種付けのため英ニューマーケットに行った際、右後肢第3指骨を骨折。手術も行われたが蹄葉炎も発症してしまったため4月に安楽死処分となった。ウオッカを管理していた角居勝彦調教師は、この春、お墓参りに行ってきたという。
競馬ビジネスの主役は種牡馬だが、繁殖牝馬がいてこそ1頭の競走馬が生まれる。大種牡馬は1年に200頭もの種付けを行うが、繁殖牝馬は1年に1頭の仔馬しか産めない。だからこそ繁殖牝馬は貴重なのだ。ウオッカにはエアグルーヴのように一族として大きな枝葉を広げていくことが期待されていたが、あまりに早い死だった。
「タニノフランケルの困ったところは牡馬であることです。ウオッカの牝馬ならばいくら走らなくても繁殖牝馬として大切な存在ですが、優れた競走成績のない牡馬は簡単には種牡馬になれません。タニノフランケルは重賞未勝利でも種牡馬になれる可能性はありますが、成功する可能性は低いでしょう。1つでも重賞を勝って種牡馬入りできればそれなりに牝馬も集まるでしょうから、この七夕賞は勝ちたいところですね。
七夕賞でタニノフランケルが人気になるのは重馬場で2戦2勝、稍重馬場は1戦して2着、不良馬場は1戦して3着という道悪実績があるからです。良馬場ではスピード負けしてしまいますが、道悪ならば先行してパワーを生かせるということです。今週末も福島は雨予報。荒れ馬場になって、しかもマルターズアポジーやロードヴァンドールといった逃げ馬が飛ばしてくれれば絶好の展開になりそうです」(競馬誌ライター)
タニノフランケル以外で人気になりそうなロシュフォールは重賞未勝利であるとともに道悪は未経験、セントライト記念(G2、芝2200メートル)勝ちのあるミッキースワローは道悪が苦手というマイナス要素がある。さらに、タニノフランケルに久々の騎乗となる福永祐一騎手は安田記念(G1、芝1600メートル)も含め6月は重賞3勝と冴えわたっている。血統など気にしない馬券ファンであっても七夕賞のタニノフランケルを軽視するのは危険ということになりそうだ。
タニノフランケルの将来はともかく、ウオッカが残した数少ない産駒たちが一族として繁栄していくことに期待しよう。
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