「芝平地の最大着差記録保持者」未完の長距離砲バンデが優駿SSで種牡馬入り。時代に逆行する決定の裏に伺える関係者の「尽力」と「苦労」

サイレンススズカ、ミホノブルボンなどを筆頭に、圧倒的な実力を持つ逃げ馬は常に競馬ファンを魅了してきた。スタート直後から主導権を握り、リードを保ったまま2着以下を突き放してゴールする。その有無を言わせない勝ちっぷりが、驚きとある種の爽やかさを見るものに与えてくれるのだろう。
今回取り上げるバンデも、競馬ファンに大きな期待を抱かせてくれた1頭である。3歳時の500万下・積丹特別の走りは正に圧巻だった。バツグンのスタートで楽に先手を取ると、3コーナーで番手の馬を引き離して独走態勢に入り、最終的には15馬身以上の差を付けて楽々ゴールイン。レース映像を確認すると、とても同じスタート地点から始まったとは感じられない。1頭だけ時空が歪んだように、離れた先頭を駆け抜けている。ちなみに2着との着差2秒8は、昭和43年の天皇賞(春)でヒカルタカイがつけた着差と同じ、芝平地レースの最大着差記録だった。
その後セントライト記念を6着に敗れるも、中1週で臨んだ兵庫特別ではまたしても2着を1秒ジャスト突き放す逃走劇。重賞好走歴なしで迎えた次走の菊花賞でも、これまでの逃げ馬としての実績&清々しいまでの勝ちっぷりを評価され、神戸新聞杯1、2着のエピファネイア・マジェスティハーツに続く3番人気の評価を与えられた。
レース本番は楽にハナを取りきってマイペースで運んだものの、番手のエピファネイアにぴったりマークされる厳しい展開。それでも直線で交わされかけてから懸命に応戦し、粘って馬券圏内を確保した走りは着順以上に強い内容だった。
古馬になった14年以降は阪神大賞典3着や、札幌日経OPで後のG2ウィナー・クリールカイザーらを相手にコンマ9秒差をつけるなど活躍を見せるも、初GⅠ制覇に期待の掛かったオーストラリア遠征では、調整中に故障を発生する不運もあって無念の帰国。それから後は約2年の間レースを使うことが出来ないまま、今年6月末付で競走馬登録が抹消されていた。
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