
JRA武豊「復活」の京都記念(G2)完勝は「確執と低迷」の序章……近藤利一オーナー死去、アドマイヤビルゴ登場まで長過ぎた沈黙の時間
2007年の京都記念(G2)は捲土重来を期すアドマイヤムーンにとって、まさに反撃の狼煙となる会心のレースだった。
札幌2歳S(G3)、共同通信杯(G3)、弥生賞(G2)と出世レースを次々と勝利し、皐月賞(G1)で1番人気、天皇賞・秋(G1)でも2番人気に支持された当時のアドマイヤムーン。しかし、G1タイトルはあと一歩のところで、その手をすり抜けていた。
そんな大器が京都記念では、従来の末脚勝負ではなく早めの積極策。最後の直線で先頭集団を捉えると、前年の有馬記念(G1)2着馬ポップロックを完封した。
この勝利には主戦の武豊騎手も「今日はスタートも悪くなかったし、すんなりと良いポジションを取れた。今年の初戦をいい形で勝つことができた」と大きな手応え。アドマイヤグルーヴ、アドマイヤベガなど1990年代後半から、2000年代に掛けて栄華を誇ったアドマイヤ軍団と武豊騎手の名コンビから、また1頭スターホースの誕生を予感させた。
その期待に応えるように、その後アドマイヤムーンは大きく飛躍する。続くドバイデューティーフリー(G1、現ドバイターフ)で念願の初G1制覇を飾ると、宝塚記念(G1)、ジャパンC(G1)も勝利。前年G1で辛酸を舐め続けた馬が、わずか1年で年度代表馬にまで上り詰めた。
しかし、好事魔多しとは、まさにこのことか。そんなアドマイヤムーンの大団円は、アドマイヤ軍団と武豊騎手のコンビ解散、そして低迷という「長いトンネル」の入り口だったのだ。
きっかけは、G1初制覇となったドバイデューティーフリーの勝利だった。同じく日本から遠征したダイワメジャーに前年の天皇賞・秋の借りを返したことはもちろん、この年のブリーダーズCターフ(米G1)の勝ち馬イングリッシュチャンネルや、G1を2勝するリンガリら世界の強豪を撃破。
この勝利でアドマイヤムーンはその年の日本最高、世界でも7位となるレーティングを与えられ、世界にもその名を轟かせた。
そんな日本の現役最強馬に目を付けたのが、世界最強の馬主軍団ゴドルフィンだ。前年のゴドルフィンマイル(G2)の勝ち馬ユートピアを約4億円で買い取ったゴドルフィンは、その後のアドマイヤムーンに40億円と破格のオファーを提示したのだ。
まさにオイルマネーの力を見せつけられた格好だが、そんなビッグオファー成就の大きなカギとなったのが、ドバイデューティーフリーから約1か月後に行われた香港のクイーンエリザベス2世C(G1)だった。
しかし、あろうことか後方からレースを進めた武豊騎手とアドマイヤムーンは前を捉え切れず3着に敗戦。わずか2週間前、同じような敗戦を1番人気に推された皐月賞(G1、アドマイラオーラ)で味わっていた近藤利一オーナーがレース後、武豊騎手に苦言を呈したのも無理はなかったか……。
だが、それが両者の確執に繋がり、さらには長く続く凋落の引き金となった。
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