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【徹底考察】有馬記念(G1)キタサンブラック「年度代表馬の称号獲得へ負けられない1戦!大団円への必須条件は、”公開枠順抽選会”にあり!?」

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 重要なのは、残り4Fの「11.9」。ここで武豊騎手はグッとペースを引き上げ、後続の脚を削りにかかっている。実際に、上がり最速を記録したレインボーラインのラスト3Fは34秒3で、この数字からもキレキレの瞬発力勝負でなかったことは明らかだ(「ならなかった」というよりは、「させなかった」という方が正確かもしれない)。

 もちろん、文句ない展開に持ち込めたのは、前半を楽なペースで運べた点が大きい。だが、だからといってどんな馬にも可能な戦術かと聞かれれば、答えは「NO」だ。ロングスパートに耐えうる豊富なスタミナがいるほか、騎手の要求に機敏に反応する高い操縦性も必要不可欠である。

 要するに、ジャパンCはキタサンブラックにとって、まさに”横綱相撲”とでも言うべき内容だった。展開の恩恵を十分に受けた上で、持てる力も120%発揮し、勝つべくして勝ったレースという結論になるのである。

【血統診断】

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 過去の【徹底考察】でキタサンブラックの血統背景には何度も触れているため簡潔に述べるが、この馬は本質的にステイヤーではない。父は、マイル~中距離馬を多く輩出しているディープインパクトの全兄ブラックタイドで、母父は短距離馬サクラバクシンオー。複数の長距離G1制覇を可能にしたスタミナや底力は、血統表の中からは見えづらい。

 父ブラックタイドの産駒には他にマイネルフロストやテイエムイナズマといった重賞勝ち馬がおり、キタサンブラックを含む多くの馬が、瞬発力より持久力、キレ味よりスタミナ能力に長けている点で共通している。同じ父と母から生まれた兄弟でも能力に差が出るのは競馬ではよくあることで、ディープインパクトとブラックタイドの産駒の特徴の違いは、血統以上に馬自身の能力の差異によって生まれているのではないだろうか。

【まとめ】

 中山2500mに関して言えば、昨年3着実績からわかるように、力を発揮できる舞台なので心配は少ない。好スタートから絶好のポジションを取れる安定感と、騎手の思いのままに動く器用さは、中山2500mというトリッキーな舞台を制するのにもってこいの長所である。

 ひとつ心配があるとすれば、それは「枠順」だ。ジャパンCの際も盛んに言われていたが、キタサンブラックはこれまでのキャリアで不自然なほどに枠運に恵まれてきた。今年制したG1はどちらも1枠1番であり、昨年の菊花賞も2枠4番。重賞タイトル6つのうち5つは2枠以内という偏った成績で、逆に言えば外枠の経験が少ない。仮に有馬記念で大外枠を引かされた場合、立ち回りの難しさはジャパンCの比ではないだろう。

 ちなみに、昨年の有馬記念は6枠11番で3着。1周目のホームストレッチで先頭に立っていたとはいえ、ハナを奪うまでに外枠から脚を使っており、その結果の敗戦と考えることも可能だ。4度目の「まつり」が暮れの中山に響くかどうか。その明暗は、水曜日の公開枠順抽選にかかっているのかもしれない。
(監修=下田照雄(栗東担当))

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