
有馬記念の勝敗を決した「影の主役」とは。日本競馬に馴染みのない文化「組織力」に潰されたキタサンブラックにファンからは賛否両論

「組織力にやられた……」
有馬記念のレース後、最後の最後に先頭を譲った武豊騎手は悔しそうに、そうつぶやいたという。
25日に中山競馬場で開催されたグランプリ・有馬記念(G1)。レースを制したのは1番人気の3歳馬サトノダイヤモンドであり、武豊騎乗の2番人気キタサンブラックはクビ差2着の惜敗を喫した。
タイム差は0.1もなく、本当に紙一重の勝負。だが、両雄の明暗を分けたのは馬”個々の力”ではなかったようだ。
「2番手からは想定通り。最後もいいタイミングで差し返せたかと思ったのですが。3コーナーでサトノノブレスにつつかれたのが痛かった」(ラジオNIKKEIより)
レース後にそう話したのは、キタサンブラックに騎乗していた武豊騎手だ。レースは逃げ宣言をしていたマルターズアポジーが飛ばす展開で、キタサンブラックは2番手をキープしていた。
1000通過は61秒と、同日同条件で行なわれたグッドラックHC(1000万下)の60.5秒よりもさらに遅いペース。ここまでは武豊騎手にとって、理想的な流れだったといえるだろう。
だが、そこからレースの流れは一変する。向正面で残り1000m辺りから、サトノノブレスが早めの進出を開始。キタサンブラックに並び掛けようとしたところで、レースは一気にペースアップした。
一見、先頭を走っていたマルターズアポジーがまだ頑張っていたので、隊列自体に大きな変化は見られない。だが、その区間のラップタイムに目をやれば”水面下”での変化は明らかに見て取れる。

注目すべきは、残り1200m「12.9秒」から残り1000m「11.8m」への急激な加速だ。ここでサトノノブレスが動きを見せて、キタサンブラックを刺激。加速したキタサンブラックに、先頭を走るマルターズアポジーが反応して一気にペースが上がった。
600m~400mの間に一度「12.1秒」に落ちているが、これは息が入ったのではなく、ペースメーカーを務めていたマルターズアポジーが力尽きたためだ。この200m間で先頭がキタサンブラックに入れ替わっている。
だが、結果的にキタサンブラックはこの早すぎたペースアップが堪えて、最後の最後でサトノダイヤモンドに差し切りを許した。武豊騎手が「サトノノブレスにつつかれたのが痛かった」と話したのは、つまりそういうことだ。
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