JRA 前走「フロック視」タイトルホルダーが低評価に反発の2着! 皐月賞(G1)1番人気ダノンザキッドと明暗、ダービーでも侮れない理由
18日、中山競馬場で行われた皐月賞(G1)は、2番人気エフフォーリアが優勝。デビューから4戦無敗で牡馬クラシックの初戦を制した。コンビを組んだ横山武史騎手はこれが嬉しいG1初制覇。先週の桜花賞を制したソダシに続き、2週連続で無敗馬の戴冠となった。
「ハナに行きたかったが、競馬なので仕方がない。ペースや取りたいコースを取ることができた。最後の直線では勝ち馬にジリジリと離されてしまった。勝った馬は力が上だと感じましたが、この馬も力をつけています」
田辺裕信騎手が評価したように2着に好走したタイトルホルダー(牡3、美浦・栗田徹厩舎)にとっても、ダービーに向けて手応えを掴んだ一戦だった。
デビューから3戦は戸崎圭太騎手とコンビを組んでいたタイトルホルダー。主戦のサウジ遠征により、前走は横山武騎手が騎乗して重賞初勝利。だが、エフフォーリアにゾッコンの横山武騎手は続投が難しく、皐月賞で戸崎騎手とコンビ復活かと思われた。
ところが、ディープモンスター陣営から戸崎騎手と新たにコンビを結成が発表され、願ってもないチャンスが舞い込んだのが田辺騎手である。
勝ち馬とは3馬身差の2着に敗れたが、ダノンザキッドとは立場逆転も見えて来た。昨年の東京スポーツ杯(G3)、ホープフルS(G1)と連敗していた相手に前走の弥生賞(G2)では雪辱を果たして勝利。にもかかわらず、休み明けを使われての良化を評価されたダノンザキッドは1番人気、タイトルホルダーは8番人気と、2頭の評価は分かれる。
弥生賞の勝利がスローペースの逃げ切り勝ちだったこともあり、一部ではフロック扱いの声もあったタイトルホルダー。低評価に甘んじたが、皐月賞でもダノンザキッドに先着し、これで2勝2敗のタイに持ち込んだ。
ワールドリバイバルにハナを奪われるという誤算はあったにしろ、田辺騎手の好判断も光った。3コーナーから先頭に立つと徐々にペースを上げつつ粘り込みを図る。最後の直線でエフフォーリアの切れに屈したが、地力強化を印象付ける好走だった。
「エフフォーリアの横山武騎手も見事でしたが、田辺騎手も負けず劣らずの好騎乗でレースを盛り上げました。また、距離が400m延びるダービーはタイトルホルダーには、条件が好転しそうです。
同馬の半姉は長距離戦を得意としているメロディーレーン。一見、前残りに思える皐月賞も自分から勝ちに行く競馬で2着と厳しい競馬でした。田辺騎手もコメントしたように力をつけています」(競馬記者)
元JRA騎手の安藤勝己氏も「一戦毎に力付けとるし、距離が延びてしぶとさが増しそう。今後も地味に穴を空けてくタイプやね」とTwitterで評価したのも地力強化の証だろう。
8番人気での激走をただの前残りと軽視してしまうのは早計かもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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