サイレンススズカ以来の「大差勝ち」再現も新潟開催に賛否の声!? 関係者も不安を募らせるJRAの判断
18日、夏季の番組が発表されたJRA。春開催が中止となった福島だが、7月からの夏競馬は予定通りに開催される見通しだ。
「安堵したファンの方も多いと思いますが、これはあくまでも予定であって確定ではありません。むしろ、マスコミや厩舎関係者は驚いています。既に水面下では福島は地震の影響で夏競馬の開催は無理という話で決定済みです」(競馬記者)
ではどこで開催するのかという話が、当然ながら出て来る。第1候補は中山で代替競馬をする方向で調整しているようだが、秋の中山開催に向けて芝を傷めたくないという場長などの意向もあって、すんなりと決まらないのが現状らしい。
再度新潟でという話も出ていたようだが、新潟では現在も福島の代替開催を行っている状況だ。しかも、先週の暴風雨の影響で一気に馬場が悪化。日曜メインの福島民報杯(L)は前走の壇之浦S(3勝クラス)を勝ってオープン入りしたばかりのマイネルウィルトスが、2着に大差勝ちしたことでも話題となったが、不良馬場を味方につけての圧勝劇だった側面も否定できない。
平地オープンでの大差勝ちは1998年の金鯱賞(G2)を圧勝したサイレンススズカ以来ということでも話題となったが、このときは良馬場での開催だった。武豊騎手とのコンビで3連勝中だった同馬は当然の1番人気。前年の菊花賞(G1)を制したマチカネフクキタルが2番人気の対抗評価となった。
だが、スピードの違いですんなりハナを奪ったサイレンススズカは、菊花賞前の神戸新聞杯(G2)で先着を許したライバルを圧倒。1000m通過58秒1という超ハイペースで他馬を置き去り、2着馬に影も踏ませない1秒8の差をつけて大差勝ち。某ゲーム内のスキルでは「先頭の景色は譲らない…!」とされているが、まさにこれを体現するレース内容といえるだろう。
稀代の快速馬が伝説的な走りを披露したレースと、圧倒的な重馬場適性を味方にしたマイネルウィルトスを同列に語るには少々違和感がある。
返し馬で軽くキャンターをするだけで芝は掘れてしまい、騎手や関係者からも「まだ5週も残っているのに、既に馬場はボコボコ。これからさらに悪化するとなると……。さすがにこれ以上、新潟での開催を増やすのは無理じゃないですか?」と懐疑的な意見が早くも出ていた。
「突貫工事でやれば福島でも開催が出来なくはないようですが、そういった状況で開催して、万が一にでも何か事故でも発生するようなら、それこそ取り返しがつきません。
JRAがいつ決断を下すのか、関係者にとって番組変更などは死活問題といっても過言ではないだけに、早めの決断が求められています」(関係者)
ただでさえ、京都競馬場が改修工事中ということもあって、大幅な番組改正を強いられているJRAだが、地震という想定外の災難に振り回される年ともなってしまった。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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