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JRA エルコンドルパサー、シーキングザパールなど「マル外」が残した歴史の1ページ。NHKマイルC(G1)シュネルマイスター「20年ぶり」快挙がもたらす可能性

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 9日、東京競馬場で行われたNHKマイルC(G1)は、2番人気のシュネルマイスター(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝。

 レースは、最後の直線で早めに前を捉えに行ったグレナディアガーズをマークしていたソングラインが、これを競り負かして直線半ばで抜け出し。大勢が決したかに思われたが、外から追い込んだシュネルマイスターがハナ差捉えてゴールした。

 元JRAジョッキーの安藤勝己氏は「普通ならソングラインが勝っとる競馬。そこからシュネルマイスターが届いたキレ味はそれこそマイル適性やね」とシュネルマイスターを称賛。騎乗したC.ルメール騎手は「まだ柔らかくて子どもっぽいですが、能力は絶対に高い馬」と、さらなる可能性にも言及している。

 シュネルマイスターは、母が独オークス(G1)を制したゼリエンホルデで、父にG1・4勝のキングマンを持つ外国産馬。新設当初は外国産馬が出走できなかった日本ダービー(G1)に対抗して「マル外ダービー」と称されたNHKマイルCだが、外国産馬としては2001年のクロフネ以来20年ぶりの勝利となった。

 日本に競走馬として輸入される外国産馬の多くは、トレーニングセールで購買されたもの。仕上がりが早いという特徴があり、1996年に行われた第1回のNHKマイルCにおいては出走18頭中14頭を外国産馬が占めたほどである。

 実際、1996年から2001年の6年間は外国産馬が勝利を収めており、クロフネ、エルコンドルパサー、シーキングザパールなど錚々たる顔ぶれだ。

 NHKマイルC勝利後、シーキングザパールはフランスのモーリス・ド・ゲスト賞(G1)を勝利し、国内の短距離G1でも活躍。クロフネはダートで花開き、ジャパンCダート(G1)で2着に7馬身差の圧勝を飾った。エルコンドルパサーはジャパンC(G1)を制し、世界最高峰の舞台・フランスのパリロンシャン競馬場で行われる凱旋門賞(G1)にも挑戦。当時ヨーロッパ最強と謳われたモンジューに対し、半馬身差の接戦に持ち込んだレースは多くの競馬ファンが覚えていることだろう。

 しかし、サンデーサイレンスを筆頭に、海外から導入された種牡馬や繁殖牝馬が成功。内国産馬の質が向上したことで、近年は外国産馬の活躍が目立たなくなった。

「内国産馬は基本的に日本で走らせることを目的として生産されていますから、日本の馬場にフィットしているということも関係しているのでしょうね。サンデーサイレンス系が席巻する日本の競馬で、その血を持たないシュネルマイスターが勝利したことは『凄い』の一言です。今後の活躍によっては、種牡馬としても期待できそうです」(競馬記者)

 かつては「マル外ダービー」と呼ばれたNHKマイルCだが、記者も話すように近年の勝ち馬は殆どがサンデーサイレンス系。父、母父ともにサンデーの血を持たなかったNHKマイルC勝ち馬は、稍重馬場で大荒れとなった2007年のピンクカメオまで遡らないとならないほど。

 NHKマイルC史上2番目に速い「1.31.6」のタイムで高速馬場に対応したシュネルマイスター。今後どのような活躍を見せるのか、ひと夏を超えて成長した姿を楽しみに待ちたいところだ。

(文=北野なるはや)

<著者プロフィール>
 某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。

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