JRA 日本ダービー(G1)エフフォーリア「二冠」ほぼ確実!? マル外ダービーも今は低レベル、クラシック組のハイレベルが浮き彫りに
先週、東京競馬場で行われたNHKマイルC(G1)はC.ルメール騎手の2番人気シュネルマイスターがソングラインとの叩き合いをハナ差で制して優勝。2001年クロフネ以来、20年ぶりの外国産馬による勝利を挙げた。
キングマン産駒としても日本でのG1制覇は初。今後も一流マイラーとして活躍に期待が懸かる。
その一方、近年のNHKマイルCのレベル低下が進んでいることには些か懸念がある。
同レースの前身は1995年まで日本ダービーのトライアル・NHK杯(G2・芝2000m)。当時は外国産馬クラシック競走に出走が不可能であり、また短距離馬に春の目標を用意する意味も兼ねて、1996年から3歳春のマイル王決定戦として生まれ変わった。
過去の勝ち馬にはシーキングザパール、エルコンドルパサー、クロフネ、キングカメハメハなど多くの名馬が名を連ねているように、“マル外ダービー”の名に相応しい顔触れである。
だが、2001年から徐々にクラシック出走への条件も緩和され、外国産馬の出走も認められるようになったのとは裏腹に、サンデーサイレンスをはじめ、外国から導入された種牡馬や繁殖牝馬の成功によって内国産馬のレベルは飛躍的に上昇する。
これにともない、強い外国産馬から内国産馬を守るという意味合いが薄れていくとともに、NHKマイルの存在意義も形骸化していった。
近年では2019年の勝ち馬アドマイヤマーズが香港マイル(G1)を優勝する活躍もあったが、皐月賞(G1)で4着に敗れていた馬。古馬でもマイルG1で一線級の活躍を見せたグランプリボス、ミッキーアイル、アエロリットなどもいるが、クラシック出走組に比べると見劣りは否めないだろう。
「シュネルマイスターは皐月賞を回避したように、距離の不安を抱えていました。適距離に戻ったマイルで本領を発揮したといえます。タイトルホルダーを物差しにすると、皐月賞に出走していれば掲示板に入るくらいは走れたかもしれません。
ただ、勝ち時計に関しては同日の3勝クラスと大差のないタイムでした。時計面のインパクトは強いですが、NHKマイルCのレースレベルはそれほど高くなかったともいえます」(競馬記者)
今年の勝ち時計1分31秒6は2010年にダノンシャンティが計時したレコード1分31秒4と0秒2差の高速決着だったが、同日の9R湘南S(3勝クラス)の勝ち時計1分32秒0と0秒4差でしかなかった。
シュネルマイスターはNHKマイルCを制したが、前走の弥生賞(G2)でタイトルホルダーに敗れて2着。同馬が皐月賞でエフフォーリアに3馬身差の完敗だったことを考えれば、クラシック組のレベルの高さが浮き彫りとなる結果だったといえる。
これらの比較からエフフォーリアの二冠も俄然、現実味を帯びてくるのではないだろうか。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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