JRA 「2000万馬券」の衝撃から6年……。ヴィクトリアマイル(G1)「18番人気」激走の大穴と共通点を持つ快速牝馬がファンの「心をひきつける」!?
16日に東京競馬場で行われる古馬牝馬によるマイル女王決定戦・ヴィクトリアマイル(G1)。昨年はアーモンドアイが断然人気に応えて平穏に収まったが、過去10年の三連単平均配当は200万円を超える波乱含みのレースとしても知られる。
過去10年の平均配当を大きく押し上げているのが6年前の大波乱だ。その一戦を制したのは高松宮記念(G1)惨敗で評価を大きく落としていた5番人気のストレイトガール。2着に12番人気のケイアイエレガント、そして3着に最低18番人気のミナレットが逃げ粘り、三連単払戻は2000万円を超える超高配当となった。
この時の三連単配当「2070万5810円」はJRAの歴代6位。G1レースとしてはもちろん歴代最高記録として今もトップに君臨している。
単勝オッズ291.8倍という低評価ながらも3着に食い込み、波乱の立役者となったのがミナレットだ。実はデビュー戦でも14番人気で優勝し、2983万2950円というJRAの三連単歴代最高配当記録をたたき出していた波乱の使者。そんなミナレットを彷彿とさせる馬が今年のヴィクトリアマイルに出走してきた。
当時のミナレットのような逃げが予想されるイベリス(牝5歳、栗東・角田晃一厩舎)だ。今年のレースにはイベリス以外にも逃げて結果を残してきた馬が何頭かいる。2歳女王で上位人気が濃厚のレシステンシア、前走の福島牝馬Sを逃げ切ったディアンドル。さらにスマイルカナとクリスティも逃げて結果を残してきた。
そんな中に入ってもイベリスのテンのスピードは特筆すべき速さである。酒井学騎手とコンビを組むようになったここ4戦はすべて逃げていて、今回もハナを譲る理由はないだろう。
ミナレットを彷彿とさせるのはその脚質だけではない。イベリスもまた、波乱の立役者になった経歴を持つ。それが2年前のアーリントンC(G3)だ。好スタートから積極的に前に行くと、阪神の長い直線を逃げ粘り、12番人気で重賞初制覇。単勝万馬券、そして三連単136万1140円という高配当を生んだ。
イベリスは2走前の京都牝馬S(G3)を逃げ切り、重賞2勝目を飾ったが、前走の阪神牝馬S(G2)で6着に敗れ、距離不安も囁かれる今回は大きく人気を落としそうだ。
13日現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは、18頭中で17番人気。おそらく実際のレースでも単勝万馬券で15番人気以下は濃厚だろう。
イベリスの馬名の由来は花の名前で、その花言葉は「初恋の思い出」や「心をひきつける」。英語の花言葉は若干ニュアンスが異なっており、「無関心」だという。
グランアレグリアなどの強豪牝馬に交じって、決して注目は高くないが、ファンの心を引きつける大逃げを打つことはできるか。今が開花時期のイベリス。府中に満開の花を咲かせることはできるだろうか。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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