エフフォーリアに流れる「ダービーを勝てない」血の宿命!? ソダシ完敗の悪い流れを断ち切れるか、東京優駿(G1)「三冠馬の法則」がコントレイルに続く無敗戴冠を後押し

今年もダービーウィークがやってきた。
ダービーに始まり、ダービーに終わるといわれる競馬の祭典が30日、東京競馬場で開催される。すべてのホースマンの夢といっても過言ではないダービー馬の栄誉を懸けて、白熱した戦いが繰り広げられるだろう。
桜花賞(G1)2着から、オークス(G1)に向かわずに矛先を転じたサトノレイナスの参戦も楽しみだが、主役を務めるのはデビューから4連勝で無敗の皐月賞馬に輝いたエフフォーリア(牡3、美浦・鹿戸雄一厩舎)で間違いない。
先週のオークスは無敗の桜花賞馬ソダシがキャリア初の敗戦を喫したが、勝ち星の中にはハナ差やクビ差の“薄氷勝利”も含まれていた。連勝していたとはいえ、圧倒的に抜けた存在だったのかとなると危うさはあった。
これに対し、エフフォーリアの快進撃は特筆すべき中身の濃さを誇っている。ここまでの4連勝で最も着差の小さかったレースはデビュー戦。相手の強化と比例して着差が縮まるのが一般的なのだが、逆に広げたのがエフフォーリアだ。
2着馬との差が最小だったデビュー戦の0秒1から百日草特別(1勝クラス)は0秒2、重賞初挑戦となった共同通信杯(G3)で0秒4、そしてG1の皐月賞で0秒5というキャリア最大の圧勝。相手が強くなるに連れてそのパフォーマンスを上げていることは驚きである。
オークスのソダシ以上に確勝ムードも漂っているが、そんなエフフォーリアにも血統的にはダービー勝利と縁がないマイナス要素が存在していることは少々意外かもしれない。
エフフォーリアの父エピファネイアは2013年の菊花賞(G1)を圧勝した名馬だが、春の皐月賞はロゴタイプ、ダービーはキズナの前にいずれも2着と惜敗。類稀なポテンシャルの高さを秘めながら勝ち切れないレースが続いた。
また、母父ハーツクライは05年の有馬記念(G1)で、無敗の三冠馬ディープインパクトに初黒星をつけたことでも有名だが、3歳クラシックでは未勝利。ダービーはキングカメハメハの2着と敗れている。エフフォーリアはこの悪い流れを断ち切ることが出来るだろうか。
ただ、ともにダービーを2着に敗れたエピファネイアやハーツクライとエフフォーリアの決定的な違いは、両馬が勝てなかった皐月賞をすでに制していることだ。
グレード制が導入された84年以降、皐月賞で2着に3馬身以上の差で圧勝した馬は85年ミホシンザン、94年ナリタブライアン、11年オルフェーヴルの3頭のみ。骨折によりダービーを回避したミホシンザンは菊花賞(G1)を制して二冠。ナリタブライアンとオルフェーヴルは三冠馬となった。
これらの前例からも「三冠馬の法則」はクリアしているともいえるか。
初顔合わせとなるサトノレイナス、グレートマジシャンもいるが無敗馬という訳でもない。順当なら昨年のコントレイルに続く2年連続無敗二冠の達成は濃厚だろう。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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