JRA 武豊が「ダービージョッキー」の貫録を見せたアドマイヤベガ!「苦しい」「嬉しい」「ホッとした」連覇…… テイエムオペラオー、ナリタトップロードを大外から一閃
1枠2番から好スタートを決めた武豊騎手は、アドマイヤベガをスルスルと下げて後方3番手の位置から追走。ワンダーファング、マイネルタンゴの2頭が先導。少し離れた3番手にヤマニンアクロ、4番手にブラックタキシードが続いた。テイエムオペラオーは中団の8番手、ナリタトップロードは外からこれを見る形で11番手。3コーナーを過ぎて一気にペースが上がり、各馬の出入りが激しくなる。
3頭の内、最初に動いたのは和田竜二騎手のテイエムオペラオー。4コーナーを大外から追い上げ、最後の直線を4番手から先頭を奪いに行く。これを目標に襲い掛かったナリタトップロードが、残り200m付近で並び掛けて交わす。
そのまま抜け出して先頭でゴールかと思われた矢先、大外から矢のような伸びを見せて抜き去ったのが、直線14番手の位置から上がり最速の切れ味で一閃したアドマイヤベガだった。
三者三様の思いもあっただろう。当時、テイエムオペラオーの和田竜騎手は、皐月賞がG1初勝利の若干21歳。ナリタトップロードの渡辺薫彦騎手は24歳と、いずれもまだ経験の浅い若手ジョッキーは勝ちを意識するあまり、ワンテンポ早く動いてしまった。
これに対し、最後の最後まで追い出しを我慢した武豊騎手。試行錯誤を繰り返し、ようやくダービーを手にしていたここまでの経験の差が、ゴール前の大逆転を呼び込んだといえるだろう。
その一方、武豊騎手が勝利騎手インタビューで何度も「嬉しい」「苦しかった」「ホッとした」と繰り返したことから、鮮やかなレースの見た目と裏腹に、とてつもない重圧から解放された安堵の表情の方が印象的だった。
残る1頭、ナリタトップロードがG1初勝利を決めた菊花賞(G1)を最後に、左前脚の繋靭帯炎でターフを去った一等星・アドマイヤベガ。8戦という短いキャリアで最高の輝きを放った瞬間でもあった。故障による早過ぎる引退がなければ、「世紀末覇王」と呼ばれたテイエムオペラオーの7冠は、もしかしたら実現していなかったかもしれない。

あれから22年、もはやベテランの域に達した武豊騎手。今年のダービーはディープモンスターとのコンビで挑む。3枠5番は同馬の父ディープインパクトでダービーを勝利したときと一致する。
1番人気が濃厚のエフフォーリアで臨む関東の若武者・横山武史騎手を相手に、再びダービージョッキーの貫録を見せることが出来るだろうか。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
PICK UP
Ranking
23:30更新
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
ミスターシービー、ウオッカ、ヒシマサルの意外な共通点…馬名の由来は興味深いエピソードの宝庫【競馬クロニクル 第47回】
武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?- JRA横山典弘騎手「史上最悪のポツン」が日本の頂点に!? 断トツ最下位で「ダービーの冒涜」大批判を集めた馬がレイデオロと並ぶ
- 武豊が「告白」宝塚記念(G1)キタサンブラック大敗劇で「最大の敗因」とされるサトノクラウンの”荒技”の影響……凱旋門賞消滅への思いと「雪辱の秋」へ<2>
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 【香港C(G1)展望】BC制覇の偉業から1か月、ラヴズオンリーユー有終の美へ!レイパパレはC.スミヨンと新コンビ、最大のライバルは最高レーティングの英国馬
- JRA池添謙一「2度結婚」「DV不倫」よりも紆余曲折の騎手人生。オルフェーヴル三冠→外国人で凱旋門賞、勝負強さは当代随一だが……
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
関連記事

JRAセレクトセール「高額落札馬」はダービーを勝てない!? 日本ダービー(G1)サトノレイナスを “おねだり”した国枝栄調教師を襲う「不吉なジンクス」とは

JRA 武豊ディープモンスターに求められるのは実力より運!? 「最も運のある馬が勝つ」日本ダービー(G1)「馬券圏内」の9割に当てはまった勝利への条件

JRA C.ルメール「強奪未遂」エフフォーリアに手のひら返し!? 日本ダービー(G1)サトノレイナスで「勝利宣言」に違和感、ソダシの“二の舞”を予感させる意味深コメント

元JRA調教師・角居勝彦氏もサトノレイナスのダービー制覇に太鼓判!? ウオッカ以来の偉業達成に求められる条件とは

東京優駿(G1)エフフォーリアにまさかの黄色信号!? 3馬身差“圧勝”皐月賞(G1)に隠された“ダービー凡走”の前兆
















