トーホウジャッカルが引退。「3.11」に生まれた2014年菊花賞馬の数奇な競走生活
2014年の菊花賞を制したトーホウジャッカルが、1月13日(金)付けで競走馬登録を抹消されたことが分かった。今後はアロースタッドで種牡馬入りするとのこと。JRA通算成績13戦3勝である。
11年3月11日、この世に生を受けたトーホウジャッカル。彼がG1の栄光を手にするまでの過酷な道のりは、震災の日に生まれた運命を表しているかのようだ。
北海道・繁殖牝馬が20頭程度の小規模牧場・竹島牧場で生まれたトーホウジャッカル。鮮やかな栗毛に金色のたてがみという「尾花栗毛」の美しい同馬は、悲惨すぎる映像を見つめる牧場の関係者にとって、希望の象徴のように映ったのではなかろうか。
その後同馬は順調に育ち、栗東の谷潔厩舎に所属が決まる。そう、ここまでは順調だった。
しかし、育成牧場で鍛えられ、デビューも近くなった2歳時にトーホウジャッカルは重度の腸炎を患い、一時は生死の境をさまようことになる。唐突に訪れた「危機」――。関係者の尽力でなんとか一命はとりとめたものの、同馬の馬体重は50キロも減少していた。もはや競馬で勝つ負ける以前に、競走馬としてレースに出走できるのかも怪しい状況だったのだ。
回復したのは翌年、3歳を迎えた3月。2歳の夏場から新馬戦が始まっていることを考えれば、相当な出遅れといえよう。結局、競走馬としてデビューしたのも5月31日の京都未勝利戦。ちょうど同世代のチャンピオンが決まる日本ダービーの前日だった。
酒井学騎手が鞍上で迎えたデビュー戦は10着、幸英明騎手騎乗で臨んだ2戦目は9着と、とてもではないが期待を持てるような結果ではなかったのだが……。
酒井騎手は、同馬のレースセンスを感じたのか、谷厩舎にもう一度乗りたいと直訴。その後中京の未勝利戦を勝ち上がると、続く500万下と連勝。さらに、小倉の玄海特別で歴戦の古馬相手に堂々2着となり、同馬のポテンシャルが徐々に解放されつつあった。
そして、運命の3歳・秋。G1菊花賞のトライアルである、神戸新聞杯に抽選を突破して出走。同レースには同年のダービー馬ワンアンドオンリーや、有力馬であるサウンズオブアースも出走していたが、この2頭に前を塞がれる不利がありながらもタイム差なしの3着に好走。菊花賞への優先出走権を獲得した。
PICK UP
Ranking
23:30更新- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!