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JRA グラスワンダー主戦騎手「溺愛」で今年0勝の息子ジョッキーと共倒れ状態……往年のライバル横山典弘から「痛恨不利」も“同情の声”が集まらないワケ

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 この日は福島の開幕日。先行有利な馬場コンディションだっただけに、前走を3番手から競馬したペイシャドリームの先行力に期待したファンも少なくなかったようだ。

 だが、レースでは特に前に行くそぶりも見せずに中団から。最後の直線を迎えた際も後方にいたところをアカノニジュウイチに前に入られ、そのまま万事休すという内容に終わった。

 それだけに、レース後には一部のファンから「前に行ってほしかった」「何故、あんな位置に」と、的場勇騎手の騎乗に疑問の声が上がっており、中には「いい加減に他の騎手に替わってほしい」と惨敗続きに業を煮やしたファンもいたようだ。

「結果的には前が潰れたレースだったので、(前に行かなかった)的場勇騎手の判断がそこまで悪かったとは思いませんが、やはり今年0勝ということもあって、ファンの風当たりが厳しくなっている印象です。今回は不完全燃焼の結果に終わってしまいましたが、このクラスでも3着が2回ある馬。どこかで一発を期待したいですね」(競馬記者)

 今年未勝利どころか、3着以内にも入ったことがない的場勇騎手。調子が上がらない選手のやる事なす事にファンが懐疑的な目を持ってしまうのは競馬も同様だ。ちょっとしたことで風当たりが強くなってしまうのは、アスリートの宿命ともいえるだろう。

 ただ、その一方で、そもそもここまで成績が低迷した的場勇騎手が、騎手を続けられていることが異例だという。

「今年まだ未勝利の的場勇騎手ですが、ここ3年間が1勝→2勝→1勝ですから、特に苦戦しているというわけではありません。最後に二ケタ勝利を挙げたのが2014年の14勝ですが、普通ここまで成績が低迷すると引退を考えるジョッキーがほとんどです。

それでも的場勇騎手が現役を続けられているのは、本人の意思も然ることながら、やはり父の的場均調教師の存在が大きいですね。正直、的場勇騎手の騎手生活は父・的場均調教師に“おんぶに抱っこ”と言われても仕方ない状況だと思います」(別の記者)

 実際に、この日まで合計39鞍に騎乗している的場勇騎手は所属フリーという立場ながら、その内29鞍が的場均厩舎の所属馬という極端な偏りを見せている。

 これでも的場均厩舎の成績が上々なら、まだ「親子の話」というだけで済むかもしれない。だが、的場均厩舎もここまで1勝止まり。昨年こそ6勝したが、一昨年、3年前ともに1勝と、まるで息子の成績と心中しているような状況だ。

 無論、競馬界でも、ある程度親が子の面倒を見ることは珍しいことではない。例えば、このレースに勝利した横山典騎手の息子には、和生、武史という2人の現役ジョッキーがおり、自身の騎乗依頼を息子に回したりすることもあるそうだ。

 その結果、横山典騎手は今年ここまで17勝止まりと、昨年の63勝ペースからは大きく遅れてしまっている。だが、その一方で和生騎手、武史騎手はともにブレイクし、騎手として独り立ちできるまでに成長した。

 的場均調教師といえば、騎手の現役時代はライスシャワーやグラスワンダーといった歴史的な馬の主戦を務めた名手だ。同じ関東の腕利きとして、横山典騎手と何度も大レースでしのぎを削った間柄だが、息子の活躍という点では明暗が大きく分かれてしまっている。(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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