JRA 武豊との「未勝利馬対決」を制し史上初の快挙達成!? 函館2歳Sで「最強の未勝利馬」が誕生
17日、函館競馬場で、今年2歳世代最初の重賞「函館2歳S」が行われた。3番人気のナムラリコリス(牝2歳、栗東・大橋勇樹厩舎)が、見事世代重賞一番星に輝いた。
同レースは、11頭立てながら新種牡馬産駒が半分以上の6頭出走ということで話題を集めた。また、重賞ながら未勝利馬が2頭出走ということでも注目を集めた。
トーセンヴァンノ(牡2歳、美浦・小桧山悟厩舎)とグランデ(牡2歳、栗東・吉田直弘厩舎)だ。
トーセンヴァンノは、これまで2戦2着2回。出走馬では少ない差し馬で、鞍上が武豊騎手ということもあってか未勝利馬ながら5番人気と高い支持を受けた。
対するグランデは、これまで1戦して5着。決して悪くない着順だが、勝ち馬と2秒以上離されていたことが影響したのかブービーの10番人気だった。
しかし、レースでは多くの競馬ファンが思いもよらない結果が待っていた。3着に入ったのが、“人気がない方の未勝利馬”グランデだったからだ。
スタートは今ひとつだった同馬だが、行き足がつくと徐々に前へと上がっていき、直線ではインコースを選択。多くの馬が進路を外に求めたため、前が塞がることなく3着を確保。メンバー最速の上がり3ハロンを記録し、6着に終わった同じ未勝利馬トーセンヴァンノに完勝した。
逃げて止まっての5着だった新馬戦から一気に2ハロン距離を縮めた今回、変わり身を見せ3連単14万650円の高配当の立役者となった。鞍上の坂井瑠星騎手は「ロスなく立ち回れたので枠順も良かったと思う」と枠運が良かったことにも言及した。
ところで「未勝利ながら重賞で好走」で思い出される馬といえば、ロイスアンドロイスの名前が浮かぶファンも多いのではないだろうか。
しかし、実際のところロイスアンドロイスは、未勝利ながらダービーTR青葉賞に出走し3着に好走したものの、当時の青葉賞はOP特別だった。
そのため、グランデが今回成し遂げた「未勝利馬ながら2歳重賞3着以内」は史上初の快挙だ。実績面だけ評価すれば「最強の2歳未勝利馬」と言えるだろう。
また、3着であるため総賞金は加算されない。つまり、まだ未勝利クラスの身であり、次戦は未勝利戦に出走することが可能だ。重賞3着馬が未勝利戦に出走するとなれば、前代未聞の珍事となるだろう。
ちなみにロイスアンドロイスが青葉賞3着から未勝利戦に出走した際の単勝オッズは1.2倍だった。果たして、グランデがどう評価されるのかは非常に興味深いところだろう。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。
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