
オルフェーヴル凱旋門賞「クビ差2着」を支えた伝説のパートナー! クロノジェネシス・ディープボンド好走の鍵を握る「縁の下の力持ち」は?
19日、JRAは10月3日にフランス・パリロンシャン競馬場で行われるオペラ賞(G1)にイカット(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が登録したことを発表した。併せて10月2日のダニエルウィルデンシュタイン賞(G2)と翌3日のフォレ賞(G1)にエントシャイデン(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)が登録したことも発表した。
イカットは、1日に函館競馬場で行われたクイーンS(G3)7着後に、クロノジェネシスと同じ栗東の斉藤厩舎へ転厩。そのため、凱旋門賞(G1)へ挑むクロノジェネシスの帯同馬とする見方が強い。
エントシャイデンに関しては、同じく凱旋門賞へ参戦予定のディープボンドの帯同馬と言えるだろう。エントシャイデンの馬主前田幸治氏は、ディープボンドの馬主前田晋二氏と兄弟関係だ。
帯同馬は、海外などへ遠征する競走馬に帯同する競走馬のことを指す。馬は不慣れな土地へ行くと寂しがる習性を持っているため、帯同馬を連れて行くことでそれを緩和させる狙いがある他、現地での調教パートナーになるという目的もある。
また、JRAは今年からジャパンC(G1)へ外国馬を招致する新たな取り組みとして、同G1開催週に、帯同馬が出走可能な条件クラスのレースを新設すると発表した。それほど、海外遠征において帯同馬は無視できない存在と言えるだろう。
そして、帯同馬を語る上で欠かせないのが、12年凱旋門賞へ出走したオルフェーヴルの帯同馬アヴェンティーノだ。
栗東・高野友和厩舎に在籍していた8歳馬アヴェンティーノだったが、オルフェーヴルが凱旋門賞挑戦表明を機にオルフェーヴルと同じ栗東・池江泰寿厩舎へ転厩。オルフェーヴルと共にフランスへ旅立ったアヴェンティーノは寝食や調教、レースでの馬場入場までも一緒にしていた。
「暴れん坊」の一言が似合うほど気性が荒いことで有名なオルフェーヴルだが、実は寂しがりやの面もあった。しかし、いつも隣に年上のアヴェンティーノがいたことで、渡仏後も落ち着いて調整を進めることができた。
当時の池江師は、「アヴェンティーノがいるからオルフェーヴルは落ち着いています。オルフェーヴルは寂しがりなところがありますが、アヴェンティーノのおかげで調子がいいです」と、取材で答えている。
アヴェンティーノのおかげで順調に調整できたことが、日本競馬の悲願達成へクビ差迫る2着に貢献したことは言うまでもないだろう。オルフェーヴルは翌13年も凱旋門賞へ出走し同じ2着だったが、1着馬との差は5馬身と広がった。この時、アヴェンティーノはオルフェーヴルに帯同していなかった。
「縁の下の力持ち」とも見てとれる帯同馬だが、オルフェーヴルの例からも役割は非常に大きいと言える。それだけに、イカットとエントシャイデンが凱旋門賞へ出走する2頭を支えてあげられるかが、好走の鍵となるだろう。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。
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