JRA「競った相手は強い」横山兄弟が266.1mのガチ叩き合い!? 横山武史VS横山和生……“楽逃げ潰し”から意地の張り合いはゴールまで譲らず
22日、札幌競馬場で行われた8R・3歳以上1勝クラスは、横山和生騎手の1番人気ファジェス(牝3歳、栗東・安田隆行厩舎)が勝利。2番人気オメガロマンスとの接戦をアタマ差で制して、待望の2勝目を挙げた。
弟の楽逃げを許さなかった。12頭立てで行われた芝2000mのレース。好ダッシュからハナに立って主導権を握ったのは、弟・横山武史騎手が騎乗するオメガロマンス。一方のファジェスは課題のスタートが一息で、またも後方からの競馬を強いられている。
レースが大きく動いたのは向正面だった。前半1000m通過が63.9秒と表示された際は、完全に横山武騎手とオメガロマンスの術中にハマったと思われたが、ここで待ったをかけたのが横山和騎手とファジェスだ。ほぼ最後方から一気の加速で追い上げると、オメガロマンスに並びかける間もなくハナを奪った。
逆にこれで火が付いたのがオメガロマンスだ。横山武騎手のアクションが大きくなると、出し抜かれた格好のファジェスを猛然と追い上げる。4コーナーを回って最後の直線を迎えた際は、再び先頭を奪い返していた。
そこからゴールまで、札幌の直線266.1mは2頭並んでの壮絶な叩き合い。「最後に競った相手は強いと思っていましたし、勝ててよかった」とアタマ差で兄弟対決を制したのは、兄・横山和騎手だった。
「なかなか迫力のあるレースでした。レース後に横山和騎手が『現状はこういう形が板についてきた』と早め進出の競馬は作戦通りだったかもしれませんが、超スローに落とし込んで完璧に勝ちパターンに持ち込んでいた横山武騎手からすれば、たまったものではなかったでしょうね。
関東の次世代騎手として有力視されている横山兄弟が1・2番人気ということで、どちらも譲れない展開だったと思いますが、2頭の馬が最後の直線全部を使って叩き合うほどの一騎打ちになるのは、なかなか珍しい展開。ちょっと大袈裟ですが、ナリタブライアンとマヤノトップガンの阪神大賞典(G2)を思い出しました(笑)」(競馬記者)
記者曰く、今回の兄弟デッドヒートには“伏線”があったかもしれないという。
「実は先月(10日の函館4R)にも同じような展開がありました。横山武騎手のギャリエノワールが楽逃げしていると、やはり後方から横山和騎手のデルマタモンが猛然の追い上げでハナを奪いに……。
このレースでは結局、最後まで先頭を譲らなかったギャリエノワールが力の差を見せつけましたが、横山武騎手も少しは焦ったと思いますよ。この時に敗れた横山和騎手にとっては、今回がリベンジした格好になりますね」(同)
実は当時、42勝で横山武騎手が2位、それを追う横山和騎手が1勝差の3位との関東リーディングでもデッドヒートを繰り広げていた横山兄弟。しかし、横山武騎手が得意とする北海道シリーズが開幕すると、両者の差が一気に開いた。
約1か月半が経過したこの日、12勝を上積みした横山和騎手が53勝で3位をキープしている一方、一気に24勝を上積みした横山武騎手は66勝で関東リーディングトップに躍り出たのだ。
「これからもう少し器用さが出てくれば……どんな形に作っていくかですね」
レース後、兄弟対決で兄の意地を示した横山和騎手は、そうファジェスに期待を懸けた。リーディング争いこそ厳しくなってしまったが、1番人気に騎乗した今回ばかりは弟に一矢報いた格好だ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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