JRA 2歳女王「最後の仔」が9馬身差レコードタイのド派手デビュー! 「いい勝ち方でした」コロナ禍に現れた「世界平和」の象徴再び
29日、新潟競馬場で行われた6Rの新馬戦(ダート1200m)は、6番人気のインコントラーレ(牡2歳、美浦・菊沢隆徳厩舎)が2着馬に9馬身差をつけて勝利。2002年の2歳女王ピースオブワールドの仔がド派手なデビューを飾った。
「いいスピードがありますね」
鞍上の三浦皇成騎手の言葉通り、スピードの絶対値が違い過ぎた。
スタート直後にあっさりとハナに立って主導権を握ったインコントラーレに対して、各馬も必死に食らいつく。しかし、インコントラーレの行き脚はまったく衰えることなく、逆に4コーナーから直線入り口で後続をスッと突き放すと、あとはワンサイドゲーム。ダート1200mの短距離戦だったが、最後は9馬身差という大差をつけてゴールした。
「めちゃくちゃ速かったですね。ゲートの出は普通でしたが、そこからのダッシュ力は一級品。レース後、三浦騎手が『物見が凄くて……オフになると一気に周りを気にするので、やめさせないように乗った』と話していた通り、最後の直線で抜け出してからもしっかりと追われていましたが、勝ち時計の1:11.1はこのコースの2歳レコードタイ。
それもナムラビームがレコードを記録した当時が時計の出やすい不良馬場だったことに対して、この日は良馬場でしたから、より価値があると思います。現時点の同世代の中で非凡なスピードを秘めていることは間違いなさそうです」(競馬記者)
また、インコントラーレの母は2002年に阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)を制したピースオブワールド。レース後、菊沢調教師が「最後の仔です」と話していた通り、すでに繁殖生活を引退しており、マクフィ産駒の本馬が最後の仔となる。
「インコントラーレの母ピースオブワールドは4連勝で阪神JFを制した2歳女王。クラシック開幕前は当然の大本命でしたし、三冠を期待する声があったほどの大器でした。しかし、桜花賞(G1)前の2月に骨折……その後は、本来の姿を取り戻せないまま引退しました。
馬名の由来は、飯田正オーナーが渡米していた時に、アメリカ同時多発テロ事件を経験したことから『世界の平和』を願ったもの。世界からコロナ禍に苦しんでいる最中ですから、ピースオブワールドの最後の仔が新馬戦を大勝したことは、何か運命のようなものがあるかもしれません。
新潟のダート1200mは芝スタートなのが特徴。スタートからのダッシュは群を抜いていましたし、あれなら母同様、芝でもやれるんじゃないでしょうか」(同)
レース後「性格的には素直でオン、オフがあって普段は落ち着いている」と菊沢調教師が言えば、三浦騎手も「いい勝ち方でした」と高評価。2歳女王の最後の傑作が母の無念を晴らすような活躍となるか期待したい。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
PICK UP
Ranking
17:30更新- 【日本ダービー】武豊「何とか間に合いました」キタサンブラック弟と挑む最多7勝目…乗り替わりでも不気味なエコロヴァルツの底力
- 【NHKマイルC】C.ルメール「一鞍入魂」アスコリピチェーノと必勝態勢!オークス、日本ダービーも騎乗馬決定か…シックスペンスとはコンビ解消
- 【NHKマイルC】“アスコリピチェーノVSジャンタルマンタル”仁義なき社台グループの頂上決戦に決着をつける不気味な伏兵!
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 【天皇賞・春】「横山典弘マジック」に翻弄された敗戦の弁?大敗でも爪痕残した名手の存在感…テーオーロイヤル、ディープボンドの好走にヒント
- 「うまく力を出せた」2年目女性騎手が2ヶ月ぶり白星! 「負担重量の注意義務」を怠り戒告処分も…翌日1Rで名誉挽回の好騎乗
- 【宝塚記念】今年のグランプリは「超ハイレベル」の一戦?リバティアイランド、ドウデュースら「最強メンバー」が激突も
- 藤田菜七子「日本ダービー騎乗」は幻に!? 武豊シュガークン×エコロヴァルツ「究極の二者択一」ダービー鞍上問題はスピード決着
- 三浦皇成「これはモノが違う」悲願のG1初制覇が目前で霧散…「今後、ダート界を引っ張る馬になってほしい」宿敵レモンポップへ1年越しの挑戦状
- 【日本ダービー】「芝未勝利馬」の参戦視野に懐疑的な声? 無傷の4連勝でダービー挑戦も「シンガリ」に敗れたサクセスブロッケンの記憶
関連記事
JRA 「初タッグ」大馬主×名トレーナーまさかの1番人気4着……スタート後手から幼さの残るチグハグなレースぶり、悲願ダービー制覇に早くも「黄信号」が点灯か
JRAルメール×キタサンブラックが6馬身圧勝デビュー! 「パワーアップしたら凄いことになる」父の主戦・武豊とのコンビ実現の可能性は?
JRA藤田菜七子&野中悠太郎、合わせて「100連敗」間近の苦戦!? 丸山元気も参戦の三つ巴、「兄妹弟子対決」で師匠に久々新馬戦勝利を届けられるか?
JRA話題の「5億円馬」ドーブネに致命的な弱点あり!? 二転三転したデビュー戦は未勝利戦も視野に……、武豊×ディープインパクトの期待馬に“泥船”の予兆
G1・4勝ルヴァンスレーヴ超えた「怪物2歳馬」が1.9秒大差圧勝デビュー! 「ポテンシャルが凄く高い」新種牡馬ドレフォンから早くもダート王の出現か