
JRA戸崎圭太、横山武史、大野拓弥「結果出ず」でもいいとこ取りは誰!? 強運の持ち主に「貧乏くじ」を引かされた被害者との明暗
先週末の開催で夏競馬も終了し、今週から舞台は中山と中京へ。秋競馬の開幕を告げるレースが続々と控えている。中でも特に注目したいのは、中山の芝2200mで争われる菊花賞(G1)トライアルのセントライト記念(G2)である。
実は、このレースに出走を予定している有力馬3頭の乗り替わり事情が少々複雑なのだ。
皐月賞(G1)2着のタイトルホルダー(牡3、美浦・栗田徹厩舎)に騎乗するのは、3月の弥生賞(G2)で勝利に導いた横山武史騎手。当時、陣営からコンビ続行を熱望されるも、エフフォーリアの存在で叶わなかった経緯もあった。競合する相手のいない今回は再登板となる。
2連勝中のソーヴァリアント(牡3、美浦・大竹正博厩舎)は、大野拓弥騎手が手綱を取った弥生賞でタイトルホルダーの4着に敗れたが、その後の2戦は圧巻のパフォーマンスで連勝。前走は大野騎手の騎乗停止によるアクシデントもあって横山武史騎手が騎乗したが、ゴール前では流す余裕も見せた。
2走前のレース後には横山武騎手が「これから楽しみな馬だと思います」と振り返ったほどの楽勝を披露し、今夏最大の上がり馬と言っても過言ではないだろう。こちらは戸崎圭太騎手とのコンビが決定している。
出走すれば上位人気が確実の2頭に対し、少々見劣るのが大野騎手の騎乗するヴェイルネビュラ(牡3、美浦・大竹正博厩舎)。春のスプリングS(G2)を5着に敗れると、NHKマイルC(G1)で13番人気の11着、ラジオNIKKEI賞(G3)でも12番人気の10着と近況は冴えない。

横山武騎手と戸崎騎手は、有力馬をそれぞれパートナーにゲットしたが、最も割を食ったといえそうなのは、大野騎手かもしれない。
「ソーヴァリアントの前走に騎乗した横山武騎手は、セントライト記念でタイトルホルダーに騎乗が決まりました。自らの騎乗停止で乗れなかった大野騎手ですが、これといった理由がないならコンビ復活があっておかしくなかったはずです。
にもかかわらず、ソーヴァリアントに戸崎騎手が騎乗。姉のマジックキャッスルに戸崎騎手が騎乗している縁もあるでしょうが、逃がしたのは菊花賞獲りも期待される有力候補。大野騎手にとっては、痛恨の乗り替わりといえるでしょう」(競馬記者)
一方、大野騎手に対して同情的な受け止め方をされる理由には、戸崎騎手とこれら3頭に少なくない繋がりが関係する。なぜなら3頭とも戸崎騎手がかつては主戦を務めた経験があるものの、結果を残していたとは言い難いからだ。
タイトルホルダーは、デビューから3戦を戸崎騎手とのコンビで1勝。ソーヴァリアントはデビューから4戦でコンビを組み1勝(うち1戦は1着入線後にカフェイン検出による失格)。ヴェイルネビュラは、デビュー3戦目のジュニアCで初コンビ初勝利の後、スプリングSとNHKマイルを敗れて3戦1勝という成績だった。
ただ3頭の中で唯一、タイトルホルダーが皐月賞まで駒を進めたものの、戸崎騎手が騎乗したのは、それまでコンビ実績のなかったディープモンスター。武豊騎手の負傷による代打的な意味合いが強かったとはいえ、少し“場当たり的”な騎乗馬選択だったようにも映る。
そして今回、一度は手放したソーヴァリアントの急成長を機に、再び鞍上の座を手にした。見方によっては「都合が良過ぎる」ようにも感じられる返り咲きだ。
勿論、陣営からすれば、戸崎騎手の手腕に期待しているからこその起用だろうが、結果を出せなくとも“いいとこ取り”となった強運の持ち主と、“貧乏くじ”を引かされた大野騎手との明暗が分かれた乗り替わりといえそうだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
17:30更新【ヴィクトリアマイル(G1)予想】ナミュールから6点で万馬券狙い! マスクトディーヴァは持ちタイムに不安ありで消し! 高速決着に対応できる穴馬で勝負
「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 「空前の競馬ブーム」巻き起こしたオグリキャップ…ぬいぐるみはバカ売れ、見学ツアーも大人気、「ビジネスチャンス」生かしたオーナーの慧眼【競馬クロニクル 第64回】
- JRA出鼻をくじかれた「16億円」の大勝負……。「神の馬」の二の舞だけは避けたい日高に朗報!? 海外からのニュースに関係者も安堵か
- 武豊騎手「パドック意味なし」発言に仰天……馬券購入セオリー「完全否定」のトップ騎手たちが語るパドック必勝法とは
関連記事
JRA「ミルコロガシ」という今なお語り継がれる伝説! ライバルと立場逆転を決定づけた最強馬候補との別れ、屈辱を味わった天才が見せた逆襲の兆し
JRA 14年後に「消費税以下」の評価大暴落、ノーザンファームに見切りをつけられた“6億馬”! その産駒が紫苑S(G3)で反撃の狼煙
JRA「ダービーを狙える」と惚れ込んだ福永祐一に先見の明! ドゥラメンテ逝去の裏で新たな光明、“幻の最強馬”が証明したポテンシャルの高さ
JRA 武豊「黄金時代」の再来に現実味!? ディープインパクトで一世を風靡した「キンコンカン」を彷彿させる大物馬主の新・御三家とは
JRA 幸英明、ボートレースで「大敗」も余裕の“幸スマイル”!一般とはかけ離れた一流ジョッキーの「給与事情」とは