「コントレイル世代」は既に死語!? かつての“脇役”ディープボンドが凱旋門賞(G1)前哨戦勝利、主役が「とんずら」で立場逆転か
12日、パリロンシャン競馬場で行われたフォワ賞(G2)は、日本のディープボンド(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)が優勝した。
凱旋門賞と同じ舞台の芝2400m戦。好スタートを切ると、他馬が牽制するのを尻目にハナへ立ちレースを作る。6頭立てと頭数が少なかったため、スローペースでレースを引っ張っていく。
フォルスストレートを抜けて直線に入ると、鞍上のC.デムーロ騎手が早めに追い出したことに反応して一気に加速。2番手でマークしていた仏G1馬のブルームら後続を寄せ付けない瞬発力を見せて、1馬身半差の勝利をもぎ取った。
日本馬によるフォワ賞優勝は1999年エルコンドルパサー、2012・13年オルフェーヴルに続いて4度目。この2頭は本番で共に2着と好走しているため、ディープボンドも2頭同様に好走が期待できる。
年初の中山金杯(G3)では2番人気に推されたが、14着と大敗。しかし、そこから2ヶ月の短期間で“急成長”を遂げた。
2戦目の阪神大賞典(G2)では、中間に負荷の強い調教を課されていながら、デビュー以降で最高の馬体重502キロへパワーアップ。「トモがどっしりして、しっかりと地面を蹴られるようになった」と、厩舎スタッフは笑みを浮かべていた。
G3で14着に敗れていた馬が、約8ヶ月の時を経て世界最高峰のレース・凱旋門賞の優勝候補となった。特に昨年の成績も加味すると、これほどの活躍を予想できたファンはいたのだろうか。
昨年のディープボンドは、京都新聞杯(G2)優勝やダービーと菊花賞の2冠で掲示板と一定の活躍はしていた。しかし、その活躍を霞ませていたのがコントレイル(牡4歳、栗東・矢作芳人厩舎)の存在だ。
コントレイルは、昨年史上3頭目の無敗での三冠を達成した、いわば“現4歳世代の顔”とも呼べる存在だ。ディープボンドとコントレイルは同じノースヒルズ系列が所有し、勝負服も似ていたため、ディープボンドはノースヒルズ軍団の「脇役」のような存在だった。
一方の主役コントレイルは昨年11月のジャパンC(G1)で初黒星を喫したが、ファンから「来年は凱旋門賞へ」と、出走を期待されていた。
しかし、今年初戦の大阪杯(G1)で道悪の馬場に泣かされて3着に。早々に凱旋門賞を諦めて国内路線へシフトすることとなった。
同グループのディープボンドが遠征しているのに対し、コントレイルは国内で待機。そのためコントレイルは、世界制覇を期待したファンに凱旋門賞から「とんずら」したと揶揄されても仕方がない状況だ。
昨年までは、「コントレイル世代」だった現4歳世代だが今秋になって一転。昨年まで脇役だったディープボンドが主役へ躍り出る“立場逆転”となりそうだ。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。
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