「上がり33秒台」ディープボンドの切れ味にファンも困惑!? 「逃げたのは私」C.デムーロが引き出した新味、高速馬場の日本ではなく“重いはず”の欧州で披露はなぜなのか
「もしかすると勝てるのでは?」
穴馬が演じた“予想外”の激走に、凱旋門賞(G1)での好走を予感したファンも少なくなかったかもしれない。
そう言っても過言ではないほど、ディープボンドの勝利は衝撃だったともいえる。
日本馬の大将格クロノジェネシスの登場を前に、フランスはパリロンシャン競馬場で開催された凱旋門賞の前哨戦・フォワ賞(G2)。6頭立ての5番人気という低評価を覆し、鮮やかな逃げ切り勝ちを決めたのは、日本馬のディープボンド(牡4、栗東・大久保龍志厩舎)だった。
本番の凱旋門賞が行われる舞台と同じ、パリロンシャン競馬場の芝2400mのレース。好スタートを切ったディープボンドは、すかさずハナを奪ってレースを先導。前半をスロー、後半は残り800mからのロングスパート。直線に入っても脚色は衰えず、2着のブルームに1馬身1/2の差をつけてゴールを駆け抜けた。
「逃げたのは私のプラン」
レース後にそうコメントしたのは、このレースで新たな一面を引き出したC.デムーロ騎手。JRA所属騎手として活躍しているM.デムーロ騎手の弟は、過去に短期免許での来日もあり、日本でもお馴染みの存在だ。
兄は先日の新潟記念(G3)でコンビを組んだマイネルファンロンを、それまで経験のなかった後方待機策からの差し切り勝ち。12番人気の大穴を勝利へ導いた手腕を絶賛されたことは記憶に新しい。
そして、その翌週に海の向こうで弟がまたしても「デムーロマジック」を決めたのだから、競馬における騎手の重要性を改めて認識させられる結果ともなった。
なにしろディープボンドはフォワ賞出走まで、日本で走ったキャリア12戦で逃げたことはない。それどころかどちらかというと「切れない」「バテない」タイプのステイヤーに分類されて不思議でない馬である。
にもかかわらず、フランスギャロが発表した同馬の上がり3ハロンは33秒85という驚きの数字。初めて逃げの手に出た異国の地で、これまで見せたことのない33秒台の切れ味を披露した。
しかも、2.31.82というレースの勝ちタイムは、直前に行われたヴェルメイユ賞(G1)の2.31.99よりも速い。さらに同レースでは、本番でも大本命と目されていた欧州育ちのディープインパクト産駒スノーフォールが、まさかの2着に敗れていたばかリ。むしろ驚くなというのが無理な話だろう。
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