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JRA「4年ぶり」の決断は“吉”と出るか? セントライト記念(G2)は“乗替わり”も……、中堅騎手が北海道、中山で見せた圧倒的存在感

JRA「4年ぶり」の決断は吉と出るか? セントライト記念(G2)は乗替わりも……、中堅騎手が北海道、中山で見せた圧倒的存在感の画像1
大野拓弥騎手 撮影:Ruriko.I

 先週から、競馬ファン待望の秋競馬が開幕。11・12日の中山開幕週でその存在感を発揮したのが、関東の中堅ジョッキー大野拓弥騎手だ。

 11日の紫苑S(G3)では、4番人気のスルーセブンシーズで2着に入り、無事に秋華賞(G1)の優先出走権を獲得。翌12日の京成杯AH(G3)でも、12番人気のコントラチェックを2着に導く好騎乗をみせるなど、得意の中山開催でデビュー17年目の“円熟味”を見せてくれた。

 実は大野騎手は、今シーズン途中からある“決断”をしている。2017年、それまでエージェント契約を結んでいた武山修司氏との契約を解消。以降はいわゆる“フリー”として仲介者を介さず、自ら騎乗馬を確保していた。

 ところが、今年6月から実に4年ぶりとなるエージェント契約を再開。JRA公式HPにある「騎乗依頼仲介者一覧」の仲介者名の欄には、常木翔太氏の名前が記された。

 以降の大野騎手の騎乗成績を振り返ると、月間勝利数が4勝に終わった5月と比べて、契約を結んだ直後の6月は6勝、7月は9勝にアップ。特に今夏の函館シリーズ開幕後は、横山武史騎手やC.ルメール騎手と函館リーディングを争う好成績を残した。

 7月31日の函館最終レースの騎乗が原因で、8月14日から22日まで9日間(開催4日)の騎乗停止処分を受けてしまったのは痛かった。とはいえ、結果的に8月は未勝利に終わったものの、9月はすでに2勝、2着4回の好成績をマークした。

 騎乗停止明けにもかかわらず、あの横山武騎手とも契約を結んでいる“敏腕”エージェントが、毎週安定して騎乗馬を確保してくれる点は心強いだろう。さらに大野騎手が騎乗したことのない馬の騎乗チャンスを獲得してくれるなら、これほど有り難いことはないはずだ。契約した以降は、先の中山開幕週での活躍ぶりからも、騎乗に“全力投球”できているようにみえる。

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 そこで注目が集まるのが、来週20日のセントライト記念(G2)だ。こちらには注目馬ソーヴァリアントが出走。鞍上は戸崎圭太騎手に決定している。

 今夏の札幌競馬で1、2勝クラスを連勝中と、「夏の上がり馬」として注目を集めるソーヴァリアントだが、その1勝クラスのレースに騎乗したのは他ならぬ大野騎手。勝利後は「特に注文をつけるところはないですし、やはり走る馬です」とベタ褒めした注目馬の鞍上を戸崎騎手に譲った点は、複雑な思いがあるかもしれない。

 一方で、大野騎手はセントライト記念でヴェイルネビュラへの騎乗が決定。同馬のデビュー戦は福永祐一騎手で、2戦目の百日草特別ではC.ルメール騎手が騎乗。以降は戸崎騎手が騎乗した3戦を経て、前走のラジオNIKKEI賞(G3)では田辺裕信騎手が騎乗していた。

 その田辺騎手は、セントライト記念ではアサマノイタズラに騎乗予定。こうしたさまざまな経緯もあり、ヴェイルネビュラへの騎乗経験がない大野騎手にとって、いわゆる「テン乗り」での騎乗が実現。これも“敏腕”エージェントが仲介して「新コンビ結成」を勝ち取ったとしたら、是非ともこのチャンスを生かしたいところだろう。

 いずれにせよ、4年ぶりの“決断”はここまで、“吉”と出ている大野騎手。新たに組んだ“敏腕”エージェントと同騎手のタッグは、秋競馬を大いに盛り上げてくれそうだ。

(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。

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