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【凱旋門賞(G1)展望】ブルーム武豊「もうそろそろ勝たせてほしい」と本音!? クロノジェネシス&ディープボンドが悲願達成へ!

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 10月3日(日)、日本時間夜に第100回凱旋門賞(G1)がフランスのパリロンシャン競馬場で行われる。

 “世界最高峰の一戦”とも称されるこのレース。好メンバーがそろった今年は、いったいどの馬に栄冠が輝くのだろうか。日本馬2頭を中心にさっそく展望していこう。

 これまで凱旋門賞に挑戦した日本馬は1969年のスピードシンボリから、昨年のディアドラまでのべ27頭にも上る。しかし、いずれも欧州勢の高い壁に跳ね返されてきた。今年はグランプリ3連覇中のクロノジェネシス(牝5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)と現地の前哨戦を逃げ切ったディープボンド(牡4歳、栗東・大久保龍志厩舎)が悲願に挑む。

 これまで国内外で15戦8勝、4着以下は1度だけというクロノジェネシス。その魅力はなんと言っても重い芝への適性だろう。欧州での競馬は未経験だが、稍重で行われた昨年の宝塚記念(G1)など、時計を要するいわゆる重い芝で圧倒的なパフォーマンスを見せてきた。

 2歳から3歳春にかけて430kg程度の小さな馬体で走っていたクロノジェネシス。3歳秋以降は馬体重の増加とともに成績も安定した。グランプリ3連覇を果たした前走の宝塚記念は478kgと過去最高馬体重とまさに充実期を迎えている。

 牡馬勝りのパワフルな走りは血の影響か。父は2004年の凱旋門賞を制したバゴ。本格化した3歳秋以降の走りを見ても、ロンシャンの洋芝を味方につける可能性は十分ありそうだ。

 一方、不安視されているのが宝塚記念から約3か月ぶりというローテーション。これまで凱旋門賞で好走した日本馬は、ほぼ現地での前哨戦を走っていたという事実が重くのしかかる。

 たとえば99年2着のエルコンドルパサーは、半年前からフランスに滞在し、現地を転戦して本番に臨んだ。10年2着のナカヤマフェスタと12年・13年2着のオルフェーヴルは前哨戦のフォワ賞(G2)を挟んでいた。前哨戦を使わずに見せ場を作ったのは、06年(3着入線→失格)のディープインパクトくらいだった。

 クロノジェネシスが現地入りしたのはレース9日前の今月24日。異例ともいえる直前渡航は果たして吉と出るだろうか。日本でもおなじみO.マーフィー騎手で日本初の悲願達成を狙う。

 一方、前哨戦のフォワ賞を逃げ切って大一番に向かうのはディープボンドだ。

 天皇賞・春(G1)以来の実戦となった前走は本番と同じ舞台。6頭立ての5番人気と評価は低かったが、好スタートを切り、ハナを奪うと残り800mあたりからロングスパート。直線でもその脚色は衰えず、C.デムーロ騎手の好騎乗に導かれ、最高の形で本番を迎える。

 ただし、29日になって急遽、鞍上の変更が現地で報じられた。デムーロ騎手に替わって手綱を取るのはM.バルザローナ騎手。日本での知名度はデムーロ騎手が上だ。しかし、今年のフランス騎手部門のリーディングを見ると、バルザローナ騎手が128勝を挙げ2位、96勝で6位のデムーロ騎手を大きく上回っている。もちろんテン乗りにはなってしまうが、大きなマイナスにはならないはずだ。

 気になるのはそんな日本馬2頭の現地での評価だろう。イギリスのブックメーカー『bet365』の9月30日時点のオッズは、クロノジェネシスが10.0倍で5番人気、ディープボンドは26.0倍で8番人気とかなりシビアなオッズが出ている

 今年もやはり欧州勢が日本馬の悲願成就を阻むのか。ここ数年では屈指の好メンバーとなった欧州勢も見ていこう。

 真っ先に名前が挙がるのはスノーフォール(牝3歳、愛・A.オブライエン厩舎)だろう。

 北海道・安平のノーザンファームで生産され、父がディープインパクトという3歳牝馬。昨年6月にデビューすると3戦目で勝ち上がったが、2歳時は7戦1勝と苦しんだ。しかし、7か月の休養を挟んだ後、復帰2戦目の英オークス(G1)で16馬身差の圧勝劇を演じると、怒濤のG1・3連勝。前走ヴェルメイユ賞(G1)で2着に敗れ、連勝はストップしたが、斤量(55kg)は魅力だ。

 日本で生まれたディープインパクト産駒が15年前の父の無念を晴らしてくれるだろうか。

 アダイヤー(牡3歳、英・C.アップルビー厩舎)も今年になってから急激に力をつけた。4戦1勝で臨んだ今年6月のイギリスダービー(G1)は、7番人気という低評価。しかし、これをあっさり覆し勝利すると、その後はキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)でG1を2連勝。ラブとミシュリフという強敵古馬を破ったことで評価はうなぎ上り。一躍主役候補となった。

 そのアダイヤーに不覚を取ったラブ(牝4歳、愛・A.オブライエン厩舎)はオブライエン厩舎3頭出しの1頭。名手L.デットーリ騎手は7度目の凱旋門賞制覇を狙う。

 シャマーダル産駒の5歳牝馬タルナワ(牝5歳、愛・D.ウェルド厩舎)は、スタミナが自慢。通算成績は「9-3-2-2」だが、2400m以上に限定すれば「5-0-0-1」で、5連勝中だ。日本でもおなじみC.スミヨン騎手とのコンビで、現地では1番人気を争っている。

 7戦6勝の3歳馬ハリケーンレーン(牡3歳、英・C.アップルビー厩舎)も怖い存在だ。2走前には、同じロンシャン2400mが舞台のパリ大賞典(G1)を6馬身差で快勝。その後、イギリスで2910mの長距離戦セントレジャーS(G1)を勝って、中2週で臨む。このタフなローテーションを克服すれば、激走があっても驚けない。

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 最後はこの人に触れないわけにはいかないだろう。凱旋門賞9度目の挑戦となる武豊騎手だ。今年タッグを組むのは、7月にサンクルー大賞(G1)を勝ったブルーム(牡5歳、愛・A.オブライエン厩舎)。前走のフォワ賞では、ディープボンドの粘りに屈したが、今年は8戦して7連対と安定した走りを見せている。

 武騎手は自身の公式HP上の日記(9月28日付)に「子供のころからの憧れのレースでしたし、騎手になって最初に乗った時(25歳だったかな?)に、いつか勝ちたいと強く思ってここまで来ています。もうそろそろ勝たせてほしいというのが本音です」(原文ママ)と渡仏前に率直な思いを綴っている。

 日本馬の前に立ちはだかるのは武騎手となるのか。武騎手の夢を砕くとすれば、それは日本馬であってほしい……。ファンの様々な思いが交錯するなか、そのときが刻一刻と近づいている。

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