JRA G1連勝の横山武史に「油断禁物」のサイン!? 関係者からの評判「うなぎ上り」の関東所属の若手騎手とは
今年の開催最終週だった先週の新潟競馬場。重賞も無く、盛り上がりに欠けていたかもしれないが、次代の日本競馬界を引っ張るホープが獅子奮迅の大活躍を見せた。
ホープの名は菅原明良騎手だ。2月の東京新聞杯(G3)をカラテで制して初重賞制覇と元々若手の期待株の呼び声が高かったが、その声に更に拍車をかける「菅原劇場」と言わんばかりの爪痕を残した。
ショーの幕開けは3Rの2歳未勝利戦。7枠12番の2番人気アメトリーチェに騎乗した菅原明騎手は、最後の直線で一旦2着馬に前へ出られたが、ゴール前でギリギリ差し返してこの日1勝目を上げる。
4Rの障害戦と昼休憩を挟んで行われた5Rではテン乗りのシナモンスティックに騎乗。レース後に「馬場が悪くて(馬が)脚を取られてました」と、振り返っていたが、他の騎手が最終週の荒れた馬場を考慮して外へ行くと考えたのか、菅原明騎手は敢えて内を選択。経済コースを通れたことで余力があったのか、直線では渋太く伸び、大外から強襲してきた馬に最後まで先頭を譲らなかった。
6Rは馬券圏外に敗れたものの、次の8Rでは、7番人気のショウナンバービーを1着へ導き本日3勝目。外枠が絶対的有利をされる千直戦ながら、3枠6番から好スタートを決めると、二度三度とチラ見しながら迷わず外に移動してまんまと逃げ切りを成功させた。続く9R・10Rも勝利して、メインレース前までに3連勝を含む7戦5勝の固め打ちを決めた。
メインレースは騎乗馬の3番人気ミスミルドレッドが、スタートで出負けした影響で敗れたが2着。それでも5Rと打って変わって、終いの脚に定評のある馬が無理せず末脚を伸ばせるよう、大外に持ち出す機転の利く騎乗を見せている。
そして遂にフィナーレを迎えたのが最終12R。決め手が自慢の2番人気オジョーノキセキに騎乗した菅原明騎手は、道中は掛かることのないよう後方で我慢させる。そして勢いよく外を回って直線へ向くと、約3年半も勝っていない馬というのが嘘のような豪快な差し切り勝ちを見せた。
振り返れば、菅原明騎手はこの日だけで6勝2着2回着外1回という大車輪の活躍。上位人気馬に恵まれたとはいえ、7番人気馬でもしっかりと結果を残したあたり、腕がなくてはできない偉業だといえる。
「テンよし中よし終いよしではないですが、芝ダート問わずに変幻自在のポジション取りで好騎乗を連発してくれました。最終週で把握が難しい馬場を完全に手の内に入れていたかのような神懸かりぶりです。
また2Rでは、JRAの公式HPに決勝写真が掲載されたほどのハナ差負けがありました。このレースも勝っていれば、1日で7勝だったわけですから。とんでもないことですよ。まさにこの日の新潟は菅原デーだったわけです」(競馬誌ライター)
土曜で一気に勝ち星を加算し、日曜も1勝を加算した菅原明騎手は、秋の新潟開催のリーディングジョッキーに。加えて2着の騎手に12勝差をつける計33勝で、今年の新潟リーディングにも輝いた。
「これで今年のは勝利数は64勝。全国騎手リーディングでは鮫島克駿騎手を抜いて12位へアップし、1勝差だった15位の武豊騎手とは8勝差と広がりました。
10位のM.デムーロ騎手とも3勝差になりましたので、この後の福島・中京開催でも調子を落とさなければトップテン入りも夢ではありません」(同)
2週連続G1制覇するなど、ブレイク中の横山武史騎手は、昨春に重賞を初勝利すると、夏に初めて開催リーディングを獲得。それらを皮切りに関東リーディング、そしてG1騎手へと駆け上がった。
そして同じ関東所属の若手である菅原明騎手。4年目で重賞初勝利を挙げた横山武騎手に対し、こちらは1年早い3年目と上回り、関係者からの評判もうなぎ上りだ。この勢いが本物なら、近い将来二人が関東を引っ張る時代が来るのかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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