JRA【エリザベス女王杯(G1)展望】”幻の秋華賞馬”レイパパレがC.ルメール騎手と1年越しの新コンビ! 正真正銘の秋華賞馬アカイトリノムスメと一騎打ちへ
14日に行われるエリザベス女王杯(G1)はフルゲート18頭に対して、18頭が特別登録。昨年に続き、阪神競馬場の内回り2200mを舞台に行われる。
今年、絶対的な存在はいないが、主役を務めるのはレイパパレ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)か。デビュー6連勝で、コントレイルとグランアレグリアを退けた4月の大阪杯(G1)。道悪に脚を取られる有力馬に影をも踏まさぬ逃亡劇で戴冠を遂げた。
その後は宝塚記念(G1)でクロノジェネシスに0秒5差の3着に敗れ、現役最強牝馬にまざまざと力の差を見せつけられた。この敗戦で最もショックだったのは直線でいったんは交わしたユニコーンライオンに差し返されたことだろう。
秋は登録があった凱旋門賞(G1)を見送り、国内レースに専念することが決定。9月のオールカマー(G2)で始動し、エリザベス女王杯を大目標に調整が進められてきた。
更なる誤算は、秋の始動戦で2.1倍の断然人気を裏切り4着に敗れたこと。キャリア8戦目で初となる馬券圏外に沈み、大阪杯の勝利をフロック視する声すら聞こえてきそうだ。
オールカマー後は短期放牧を経て、10月下旬に栗東に帰厩。1週前には栗東坂路で53秒0-12秒5の好タイムを出すなど、予定通り順調にきている。
鞍上は全レースで手綱を取ってきた川田将雅騎手がアメリカ遠征後の隔離期間のため、C.ルメール騎手に乗り替わる。2連敗中のレイパパレにとってこの乗り替わりは起爆剤となるか。
ルメール騎手とは初タッグとなるが、もともと昨年の秋華賞(G1)に騎乗予定で、調教にも跨っていた。しかし、抽選漏れでコンビ結成はかなわず。“幻の秋華賞”が、1年越しの新コンビでビッグタイトル獲得を狙う。
レイパパレが幻の秋華賞馬なら、アカイトリノムスメ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)は正真正銘の秋華賞馬だ。
春は桜花賞(G1)4着、オークス(G1)2着と惜しい競馬が続いた。父ディープインパクト、母アパパネのいわゆる12冠ベビーは、前哨戦をパスして秋華賞へ直行。これが実を結び、母に続く牝馬三冠目のタイトル奪取に成功した。
オークス以来の実戦はマイナス馬体重で、その成長に不安の声も少なからずあった。しかし、結果的には陣営が渾身の仕上げで臨んだということだろう。
秋華賞をぶっつけで臨んだため、結果的に叩き2戦目で強豪古馬と対峙する。母アパパネは2010年の牝馬三冠達成後にエリザベス女王杯に臨み、1番人気に支持されたが、スノーフェアリーの鬼脚に屈し、3着に敗れている。11年の時を経て、その娘がリベンジを果たせるか。
懸念は、やはり中3週で2度目となる阪神への長距離輸送だろう。輸送減りするタイプではないが、馬体重や当日の入れ込みなどは注視したいところだ。
レイパパレとアカイトリノムスメの間に割って入るのはウインマリリン(牝4歳、美浦・手塚貴久厩舎)だろう。前走のオールカマーは、自己最高馬体重で出走し、牡馬相手に快勝。フローラS(G2)、日経賞(G2)に続き重賞3勝目を飾った。
天皇賞・春(G1)でも5着に好走したように、長距離実績は頭一つ抜けている。スタミナが問われる展開になれば、あっさり勝つシーンがあっても驚けない。
鞍上はもちろん横山武史騎手が務める。菊花賞(G1)、天皇賞・秋(G1)とG1・2連勝中で、これはもはや勢いではなく実力。ここでも武史マジックは炸裂するか。
ウインはウインでもウインキートス(牝4歳、美浦・宗像義忠厩舎)も充実一途。オールカマーではウインマリリンに1馬身半差をつけられ2着に敗れたが、道中の位置取りの差も大きかった。
デビューから18戦で、掲示板を外したのは2回だけ。3月の日経賞(G2)は15着に大敗したが、この時は3コーナーで致命的な不利を受け、後方に下がってしまい、度外視できる競馬だった。
その後、目黒記念(G2)で牡馬を一蹴。続く札幌記念(G2)で9着に敗れたが、この時はプラス18kgという太目残りだった。どちらの大敗も敗因がはっきりしているだけに、ここでも侮れない存在だ。
カギを握るのは初めてとなる関西圏への長距離輸送と初めて背負う56kgの斤量か。この2つを克服できれば、勝機もあるだろう。
テルツェット(牝4歳、美浦・和田正一郎厩舎)は、4月のダービー卿CT(G3)で重賞初勝利。勢いを買われたヴィクトリアマイル(G1)では3番人気に推されたが、出遅れも響いて14着に惨敗した。
その後は函館開催のクイーンS(G3)で、後方一気の差し切り勝ちを収め改めて素質の高さを示した。地力はあるが、マイルを中心に使われてきただけに、やはり距離の克服が課題となりそうだ。
ここ3戦は川田将雅騎手とコンビを組んでいたデゼル(牝4歳、栗東・友道康夫厩舎)。今回は昨年ローズS(G2)以来となる武豊騎手を鞍上に据えて戴冠を狙う。
前走の府中牝馬S(G2)はまさかの16着惨敗も、休み明けはイマイチのタイプで、巻き返しに期待。ただし、勝ち鞍は1600~1800mで、2000m以上は3戦未勝利。この馬にも距離延長が大きな壁として立ちはだかる。
この他には、3月の中山牝馬S(G3)で重賞初制覇を飾り、続くヴィクトリアマイルでも2着に好走したランブリングアレー(牝5歳、栗東・友道康夫厩舎)、ハイレベル3歳世代のもう1頭、ステラリア(牝3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)も侮れない。
他にも、現在3戦連続で重賞馬券圏内というクラヴェル(牝4歳、栗東・安田翔伍厩舎)、昨年の秋華賞3着馬のソフトフルート(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)もチャンスをうかがう。
今年は3歳馬が2頭とやや寂しい頭数となったが、世代レベルの高さを証明できるか。それとも古馬勢が意地を見せるのか。発走は15時40分を予定している。
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