
JRA 新種牡馬「未完の大器」シルバーステート産駒が嬉しい重賞初Ⅴ! 武豊「もっと強くなりそう」次走G1で産駒激突も
6日、阪神競馬場で2歳牝馬限定重賞のファンタジーS(G3)が行われた。過去3年の勝ち馬はメイケイエール、レシステンシア、ダノンファンタジーで、それぞれ後のG1もしくはG2レースで勝ち星をあげている。近年の牝馬出世レースの一つと言っていいだろう。
そんな注目の一戦で、重賞初勝利を飾ったのがウォーターナビレラ(牝2歳、栗東・武幸四郎厩舎)だ。初騎乗の武豊騎手とコンビを組み、2番手追走から直線力強く抜け出すと、1番人気のナムラクレアを寄せつけず3/4馬身差で完勝した。武豊騎手も「まだまだもっと強くなりそうな馬なので楽しみです」と勝利インタビューではニコニコ。
嬉しい重賞初制覇となったウォーターナビレラだが、前脚を投げ出すようなその豪快な走りはどこか父シルバーステートを彷彿とさせる。本レースは、シルバーステートにとっても記念すべき初年度産駒の重賞初勝利となった。
新種牡馬として注目されるシルバーステート。新種牡馬の中では、ドレフォン産駒のジオグリフが9月の札幌2歳S(G3)を制している。ドレフォンに続いて、産駒が重賞を勝った新種牡馬はこれで2頭目だ。
シルバーステート自身は現役時代、重賞出走さえ叶わぬまま引退となった。重賞に出ないまま引退となったのは、決して弱かったからではない。出走全5戦は全て福永祐一騎手とコンビを組み、新馬戦着差なしの2着の後は無傷の4連勝だった。4連勝の中身も、ほぼ全て馬なりで着差をつけての完勝である。
「規格外の馬でしたね」と福永騎手に言わしめた同馬を苦しめたのは屈腱炎だ。休養をはさみ4歳秋の毎日王冠(G2)での復帰を目指していたが、炎症範囲が広く断念。惜しまれながらそのまま種牡馬入りとなった。
別の馬を種牡馬として導入しようとしていた生産者に対し、福永騎手が「いま休んでいるシルバーステートのほうが絶対にいいですよ」と進言したという興味深い話もある。
現役トップクラスのジョッキーの「お告げ」もあってか産駒成績は好調。種付け料も2018年度は80万円であったが、そこから100万円、120万円、150万円とうなぎ登りである。ウォーターナビレラら初年度産駒の成績によって来年はさらに高騰しそうだ。
そうは言っても、今のところは比較的お手頃な種付け料だからか、初年度は200頭近くと種付け頭数も多い。今週の土日だけでシルバーステート産駒は計12頭が2歳新馬・未勝利戦中心に出走登録されている。毎週のように産駒の活躍が見られるのは、この馬のことを記憶しているファンにとっては嬉しいところだろう。
ウォーターナビレラの次走発表はこれからだが、管理する武幸四郎調教師は「馬次第にはなりますがこの後はG1に行きたい」と12月の阪神ジュベナイルフィリーズ出走を示唆。既に同じシルバーステート産駒で、9月の野路菊S(OP)を圧勝したロンも出走が濃厚だ。
父の出走が叶わなかった夢のG1舞台で、産駒同士の熱い戦いが見られる日は近い。
(文=鹿取文)
<著者プロフィール>
平日は会社員、土日はグリーンチャンネル三昧の日々を送る。幼少期にグラスワンダーが勝った宝塚記念を生観戦、絶叫する親族にドン引きするも二十年経ち気づけば自分も同じ道へ。逃げ馬の粘りこみが好き。
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