JRAコントレイル矢作芳人調教師「試験不合格13回」泥沼の過去…「逮捕されてたらアウトだった」開成出身エリートの裏にあった停学、警察事情聴取【再掲】
先週、史上3頭目となる無敗の三冠馬コントレイルでジャパンC(G1)を勝利し、見事に管理馬の有終の美を飾った矢作芳人調教師。
他にも、先月は米国競馬の祭典ブリーダーズCにて、マルシュロレーヌがディスタフ(G1)を、ラヴズオンリーユーがフィリー&メアターフ(G1)をそれぞれ勝利するなど、今日本が世界に誇る名伯楽といえば、間違いなく「矢作芳人」だろう。
充実したラインナップは勝ち星にも表れ、今年ここまで49勝は調教師リーディング2位。首位の中内田充正厩舎とは、わずか2勝差であり、2年連続のリーディングも十分に視野に入っている。
日本一の東大進学率を誇る超名門・開成高校を卒業し、オーストラリアへ1年間の研修。そして頭脳派・調教師として華々しく厩舎開業――。これだけを見ると、矢作調教師はまさにエリート街道を邁進してきたように見える。
だが、その水面下ではやんちゃ坊主が、ギリギリの“綱渡り”をしてきた人生があるようだ。
「どうしようもない生徒」だった――。
これはJRA機関誌『優駿』2020年10月号のインタビューで矢作調教師が、自らの学生時代を振り返った言葉だ。東大が既定路線とさえ言われる開成高校に入学しながらも勉強はせず、学生の“悪いこと”を一通りやったという矢作氏。東大も受験したようだが、当然のように不合格だったようだ。
さらにオーストラリアでの研修後、調教師になるためにJRAの競馬学校に入学した矢作氏だったが、学科はほぼ満点、馬の騎乗も問題なかった一方、生活態度が最悪の評価だったという。「職員をひっぱたいちゃった」と退学は免れたものの、停学処分を受けた過去を振り返っている。
まだまだ“矢作武勇伝”は終わらない。その後、競馬の世界に飛び込むことになった矢作氏だが、JRAの調教師試験を合格したのは、それから20年後というから驚きだ。
一般人からすれば合格率10%未満と「非常にハードルが高い」と言われる調教師試験だが、それでも開成出身の矢作氏にとって勉強は、まさに十八番。本来なら、一発合格も夢ではなかったはずだ。
しかし、受験すること実に13回……落ちて、落ちて落ちまくった裏には、ある「事情」があったようだ。
「矢作氏が調教助手時代に絡まれた男を殴ってしまったそうです。しかも相手は任俠団体の幹部であり、警察から事情聴取を受ける事態にまで発展……。これを機に『調教師・矢作芳人』誕生の道は非常に険しいものとなったそうです」(競馬記者)
この事案を受け、競馬界では矢作氏に対して「絶対に調教師試験は通らない。JRAが合格させない」という噂がまことしやかに囁かれ、逮捕されていたら、おそらくアウトだったと思うとギリギリの状況であったようだ。
その後、14度目の試験に合格し、晴れてJRA調教師となった矢作氏だが、その時すでに43歳。奇しくも昨年、三冠を達成したコントレイルの主戦・福永祐一騎手と同じ年齢だ。
「受かったときは嬉しかった。ダービーや有馬記念を勝ったときよりも、あの時が人生で一番嬉しかった」
そう当時を振り返っている矢作調教師。今でこそ綺羅星のごとく超良血馬が集まっている矢作厩舎だが、そんな“事情”もあったからか、開業時点での社台グループの馬は「0」。接点すらなかったという。
そんな変わり者が今や、競馬界を代表する名伯楽の1人になっているのだから、やはり「変人と天才の差は、紙一重」というのは当たっているのかもしれない。
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