JRA岩田康誠「息子に負けないように」ガッツポーズの236万馬券演出! 中日新聞杯(G3)してやったりの逃げ切りに元JRA安藤勝己氏も「会心のメモリアル」
11日に中京競馬場で行われた中日新聞杯(G3)は、単勝8番人気のショウナンバルディ(牡5、栗東・松下武士厩舎)が勝利した。騎乗した岩田康誠騎手は、これがJRA重賞通算100勝となり、地方競馬出身騎手としては前人未到の大記録を達成した。
レースでは好スタートを切った後、1枠2番という好枠を生かして果敢にハナを主張した岩田康騎手の好判断も光った。道中はじっくりとマイペースに持ち込み、最後の直線でもしっかりと脚を伸ばして逃げ切り勝ち。確固たる逃げ馬不在のレースのなか、スローペースを巧みに操った鞍上の作戦勝ちだった。
これには、同じ地方競馬出身騎手だった元JRA安藤勝己氏も自身のTwitterで反応。「好枠を利して、ハンデ戦やし一発あるなら前って戦法が上手くいった。朝にも逃げ切りを決めてて、ヤスナリのリズムもいい日やった。会心のメモリアルになったんやないかな」と岩田康騎手の腹を括った騎乗を評価した。
安藤氏は中央競馬で結果を出した地方競馬出身騎手のパイオニア的存在であり、キングカメハメハやブエナビスタなど多くの名馬の主戦騎手を務めたことで知られている。ここ一番に強い騎手という印象で、大舞台でも数々の名勝負を見せてくれた。
今回の岩田康騎手の記録は、地方競馬出身騎手のレジェンドである安藤氏と比べても、遜色ない記録であることがわかる。安藤氏が初めて中央の重賞を勝ったのは、ライデンリーダーの1995年報知杯4歳牝馬特別(G2)。これから引退する2013年までの28年間で重賞通算81勝、内G1は22勝している。
一方の岩田康騎手は、2002年セントウルS(G3、現在G2)ビリーヴが初重賞勝利。その後も、19年3カ月で重賞通算100勝を達成し、内G1は25勝だ。数字だけなら安藤氏を上回る結果を残している。同じく地方競馬出身の戸崎圭太騎手(62勝)や内田博幸騎手(54勝)もリーディングジョッキー経験者ながら、これに追いつくのは至難の業だろう。
過去にはG1で何度も名勝負を繰り広げてくれた岩田康騎手。04年の菊花賞(G1)をデルタブルースで初のG1勝利をあげてから、08年の秋華賞(G1)ブラックエンブレムや10年のマイルCS(G1)エーシンフォワードでは大波乱を演出したこともある。12年の日本ダービー(G1)ではディープブリランテで悲願のダービー初制覇を飾ると、同年のジャパンC(G1)は牝馬三冠馬のジェンティルドンナであのオルフェーヴルを破る大金星を挙げた。
ロードカナロアとのコンビでは、日本のG1のみならず世界のスプリント戦でも躍動し、「IWATA」の名を世界に轟かせ、多くの記録と記憶の両方を我々競馬ファンに残してくれた。
近年は若手騎手の台頭もあり、以前より活躍に陰りを見せ始めた上に、度重なる危険騎乗も相まって、競馬ファンの評価も冷ややかになっていた時期もあった。しかし、一見ラフプレーに思える騎乗も、裏を返せば一つの勝利を必死に追う地方競馬出身騎手の“ハングリー精神”があってのもの。この気持ちがなければ重賞通算100勝という大記録達成はあり得なかっただろう。
メモリアルの数分後には、息子の岩田望来騎手が祝福するかのように阪神競馬場のメインレースを勝利し、父親の偉業に花を添えた。岩田望騎手もこの日は1日3勝の固め打ち。メインレースの勝利でJRA通算200勝にあと1勝とするなど、安藤氏が言うようにこの日は「岩田デー」となった。
今年47歳となった岩田康騎手。メモリアル達成後のインタビューで「頑張っている息子に負けないように日々精進しなければいけないですし、まだまだ自分自身若い気持ちのまま」と答えたように、今後も親子揃って競馬界を盛り上げてくれることを楽しみにしたい。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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