JRAファンから「ルール改正」望む声も噴出した不運、「4度目の正直」で念願叶った実力馬とは
26日、大井競馬場でTCK女王盃(G3)が行われる。JRA所属馬5頭、地方馬7頭の計12頭が、2022年最初の交流重賞覇者の座をかけて戦う牝馬限定の一戦だ。
注目は昨年のJBCレディスクラシック(G1)で後方追走から鮮やかに直線抜け出て、G1初勝利を成し遂げたテオレーマ。今回は56キロで大外と、厳しい条件を課せられたが大井1800mの相性は悪くない。マルシュロレーヌ不在の国内ダート牝馬路線を引っ張る存在となるためにも、落とせない一戦だ。
そのテオレーマを2走前に今回のコースで破っている5枠6番のレーヌブランシュも無視できない存在だ。前走のJBCレディスクラシックでは、2番人気ながら離れた4着とまさかの敗戦。得意舞台で巻き返しを図りたい。
JBCレディスクラシックで1・2番人気を背負った2頭が集った一戦だけに、下馬評では「二強ムード」が濃厚。だが、そんなムードを断ち切る存在として期待されているのが、5枠5番のショウナンナデシコ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
今回が初の重賞挑戦となるが、近走の安定感はメンバー屈指。3ヶ月の休養明けとなった4走前は5着と敗れたが、その後はオープン勝利含む2勝3連対と好走を続けており、本格化の兆しが見える。
管理する須貝師は「力をつけているよ。牝馬限定のここなら」と、自信をのぞかせている。牡馬混合のオープン戦で2戦連続好走している点からも、重賞でも牝馬同士なら師の目論見通り、善戦以上の期待ができそう。
何より陣営としては、やっと叶った牝馬重賞への出走でもある。このレースに懸ける想いは他陣営より強いはずだ。
何しろショウナンナデシコ陣営は、これまで3度にわたって交流重賞に登録してきた経緯がある。しかし、3回とも補欠だった上に出走が叶わなかった。
「ショウナンナデシコは20年の兵庫CS(G2)、関東オークス(G2)、21年のクイーン賞(G3)と出走可能な賞金を持っていたにも関わらず、補欠になってしまいました。
兵庫CSと関東オークスでは少ない出走枠に、ショウナンナデシコを含む2勝馬が多数いたため、抽選となりましたが、どちらも抽選漏れ。クイーン賞も『過去1年間の収得賞金』が同じプリティーチャンスとの争いに負けて、最後の4枠目の切符を逃しています。
特に南関の2重賞は、初ダートの馬が登録してきたことが出走を逃す要因の1つになりました。関東オークスではアールクインダムとクリスティの2頭が、クイーン賞ではエリザベスタワーが、初ダートながら出走しました。
結果はクリスティの3着が最高で、他の2頭はダートが合わなかったのか大敗を喫しています。初ダートの馬がダート実績馬を差し置いて出走し、惨敗したことで、一部のファンから出走ルールの改正を求める声も出ました。
特に関東オークスで除外となった時は、ファンから不満が噴出しました。当時のショウナンナデシコは世代トップクラスが集う青竜S(OP)で僅差の4着に好走しており、牝馬に限れば世代ナンバーワンの呼び声がありましたからね。
今回は2走前のカノープスS(OP)勝利の賞金も加わって、抽選ではなく実力で出走の権利を獲得しました。陣営からすれば、やっと交流重賞を使えるという思いでしょうね。これまで出走が叶わなかった悔しさをバネに、暴れてきてほしいです」(競馬誌ライター)
鞍上はここ2戦コンビを組んで相性の良さを見せている吉田隼人騎手だ。同騎手と須貝厩舎といえば、ソダシでお馴染みの鉄板コンビでもある。仲の良い陣営の想いを汲み取って、「4度目の正直」を勝利で飾るべく最高の騎乗をしてくれるに違いないだろう。
馬名の由来でもあるナデシコの花言葉は「純愛」だ。重賞を愛し登録を続け、遂に報われた5歳牝馬の勇姿に期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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