JRA 7戦「41馬身差」圧巻の世界賞金王産駒に重大な欠陥が発覚!? 武豊絶賛のジュタロウもハマった「罠」
29日、中京競馬場で行われた4Rの新馬戦(ダート1400m)は、岩田望来騎手の1番人気キュートヴィラン(牝3歳、栗東・四位洋文厩舎)が優勝。単勝1.7倍の圧倒的な支持に応える7馬身差の圧勝で、新馬勝ちを収めた。
岩田望騎手が「芯が入ってくればもっと良くなると思います」と期待する、好センスの牝馬は昨夏から日本でデビューを果たしたアロゲートの産駒。同産駒はこれが5頭目の新馬勝ちとなった。
アロゲートは米国馬で、2019年に豪州のウィンクスに抜かれるまで獲得賞金の世界記録を保持。BCクラシック(G1)をはじめ、世界最高賞金のペガサスWC(G1)やドバイWC(G1)など世界の名高いダートの大レースを制してきた。
そんな近代最強ダート馬は18年から種牡馬入りするも、実働期間は僅か3年。20年6月に息を引き取った。
アロゲートの血を継ぐ馬は決して多くないが、その中の数頭が日本へ渡り、現在まで9頭がデビュー済み。既に1勝以上している馬は、先述の新馬勝ち5頭を含む計7頭。勝ち上がり率は驚異の約78%だ。
勝ち上がり率の高さもさることながら、同産駒は勝ちっぷりの良い馬が多数いるのも大きな特徴の1つだろう。
昨年10月にアロゲート産駒初の新馬勝ちをもたらしたジャスパーグレイトの10馬身差圧勝にはじまり、翌月のジュタロウは後続に約14馬身差もつけ、5着以下をタイムオーバーにさせた。他にもウィングヘヴンが6馬身差、そしてこの日のキュートヴィランが7馬身差と、とにかくド派手なデビューが続いている。
ちなみにアロゲート産駒がこれまで挙げた7勝でつけた着差は、推計で41馬身。1戦あたり5~6馬身差をつけて勝利していることに。さすが元世界賞金王の産駒といえる輝きを放っている。
ただ、一方で気になるのが、アロゲート産駒が1勝クラス以上のレースで躓いている点だ。
初勝利こそド派手な圧勝劇を演じ、そのたびに「大物登場」と騒がれているアロゲート産駒だが、何故か2勝目が遠い。先ほど挙げたジュタロウは、新馬勝ち後に鞍上の武豊騎手が「ケンタッキーダービー(G1)に行きたい」と、陣営に直訴したほどの逸材だが、2戦目は2着に惜敗すると、29日の3戦目はまさかの9着に終わった。
ジュタロウ以外にも、ジャスパーグレイトや未勝利戦を圧勝したポイズンアロウなど複数のアロゲート産駒が、1勝クラスの壁に跳ね返されているのだ。
「うーん……ダート馬によくある現象といえば、そうなのですが。もしかしたら、お父さんのアロゲートの性格が関係しているのかもしれません。
アロゲートはデビューが遅れた影響でデビュー戦こそ落としていますが、以後は連戦連勝で一気にダートの世界王者になりました。しかし、ドバイWC後、それまでの連勝が嘘かのように一気に勝てなくなり、引退を余儀なくされました。
ですので、ピークがもの凄く短いのか、ムラのあるタイプといいますか。とても掴み辛いタイプが多い印象があります。まだ、サンプルが少ないので断言しかねますが、少なくとも新馬向きの馬が多いのが、産駒の特徴だと思います」(競馬記者)
ファンの間で高い注目を浴びているアロゲート産駒。一口クラブ『DMMドリームクラブ』が同産駒を募集したところ、あっという間に満口になるなどの大盛況ぶりだが、2戦目以降も同じようなポテンシャルを発揮できるとは限らないようだ。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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