JRA 福永祐一「絶賛」スプリンター敗因は積極策!? 再登板の関西ホープ騎手へファンから不満噴出も高松宮記念へ向けて得られた「収穫」
30日、中京競馬場で行われたシルクロードS(G3)は、2番人気のメイケイエールが好位から直線抜け出て勝利。昨年のチューリップ賞(G2)以来、重賞4勝目を手に入れた。
鞍上の池添謙一騎手は「レース前まで折り返し手綱を付けて、このままいこうという話になった。パシュファイヤーを付けた効果もあって上手に走ってくれた」と、勝因の1つに馬具を挙げ、立て直しに苦労した陣営を労った。
その一方で、4コーナー2番手から押し切りを図るも失速し13着に敗れたのが、5番人気に支持されたジャンダルム(牡7歳、栗東・池江泰寿厩舎)だ。
デビュー2連勝でデイリー杯2歳S(G2)を勝つなど大活躍だった2歳以降、鳴りを潜めていたが、5歳時に1400m以下の短距離路線へ転向し復活。昨年本馬に騎乗した福永祐一騎手と浜中俊騎手は「スタートが出ればG1を勝てる力がある」と、口を揃えて絶賛していた。
そして、メイケイエール陣営の切り札が馬具であるならば、ジャンダルム陣営にとっての切り札は鞍上の荻野極騎手だ。両者のコンビは、これまで4戦2勝3着1回と好相性で、同騎手が騎乗した際はスタートで遅れたことがない。
4戦ぶりの再コンビに2017年の「中央競馬騎手年間ホープ賞」受賞騎手は、『デイリースポーツ』の取材で「トップハンデタイで相手も強いですが引けは取らない。チャンスはあります。スタートもうまく、好位で折り合いもつく馬なので、そのまま押し切りたい」と、意欲を露わにした。
しかし結果として、その強気な姿勢が仇となったのかもしれない。
スタートで後手を踏むも、荻野極騎手は積極的にポジションを取りに行く強気のレースを敢行。前半3F33秒6というハイペースを4コーナー2番手で回る。直線では一時先頭に踊り出たが、半ばで失速。13着と人気を大きく下回る結果に終わった。
「福永騎手や浜中騎手が『能力的にはG1級の馬』と評したレースは、いずれも出遅れて末脚勝負に徹した際のコメントでした。スタートを決めて後半勝負をすれば、再現も期待できたかもしれませんが、またしても出遅れた上に今回は積極策。外枠でしたし、腹を括ってもよかったもよかったかもしれませんね。
ただ、荻野極騎手は戦前のインタビューでも答えているように、本馬とのコンビでは好位押し切りのレースで結果を残してきました。そのため、大きく出遅れない限りは前にいこうと決めていたのでしょう。結果的に、裏目に出てしまった気がします」(競馬記者)
記者が話す通り、道中インの3、4番手で脚をためたメイケイエール以外の先行馬は軒並み崩れたように、前掛かりの展開。それでも押し切った勝ち馬の力が抜けていたということだろう。
近走のイメージが強かった一部のファンからは、ネットの掲示板やSNSで「何で前にいくの」「後ろからいくと思っていた」といった不満の声が出たのも仕方がなかったか。
不満の矛先となってしまったが荻野極騎手だが、巻き返しの余地はまだまだありそうだ。別の記者は「個人的な見解になりますが……」と前置きしつつ、同騎手が鞍上だったからこそ、収穫が多くあったことを評価した。
「やはり荻野極騎手が乗ると比較的スタートは出ますね。出遅れはしましたが、致命的とまではいえない程度に留まりました。
本番の高松宮記念(G1)はレシステンシアなど先行馬が揃い、ハイペースが予想される一戦。末脚勝負に徹してセントウルSの末脚が再現できれば、勝算はあると思いますよ」(別の記者)
本番まで残り2ヶ月弱。昨年のスプリンターズS(G1)は体調が整わず敗戦したが、叩き2走目の上積みにも期待できる。恐らく人気も下がるだけに、今回の敗戦で荻野極騎手の迷いもなくなったはずだ。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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