
JRA白毛馬“繁栄”のカギを握るのはあの暴れん坊!? ソダシ、メイケイエールを出した白毛一族に「先細り」危機とは

北海道・新冠の村上欽哉牧場で白毛の牝駒が誕生し、SNSなどで話題になっている。
白毛といっても、シラユキヒメ一族ではなく、ソダシやメイケイエールと血縁関係はない。牝駒の母の名前はサトノジャスミン。米国で生まれ、日本で調教を受けた外国産馬で、現役時代は昨年勇退した角居勝彦厩舎に所属。白毛馬として話題になったが、2019年に2戦した後に繁殖入りした。
今回生まれた牝駒の父はゴールドシップだ。ご存じの通りG1を6勝した名馬で、現役時代は“芦毛の怪物”や“暴れ馬”の異名を取り、ファンから絶大な人気を誇った。
「サトノジャスミンにとって2頭目の産駒だったそうです。1頭目はオルフェーヴルを付けて、父と同じ栗毛の牝駒が昨年(21年に)生まれています」(競馬誌ライター)
実はゴールドシップ産駒にはもう1頭、別の白毛馬がいる。それが20年2月に白毛の母カスタディーヴァから生まれた牡駒である。
母はニュージーランド生まれの外国産馬として、17~18年に11戦して1勝を挙げ、繁殖入り。2年前に生まれたゴールドシップ産駒は、順調ならこの夏にも競走馬としてデビューを迎える。
「ゴールドシップとの間に生まれたカスタディーヴァの初仔は白毛でしたが、翌年にはサトノダイヤモンドとの間に父と同じ鹿毛の牡駒が生まれています。つまり、父ゴールドシップからは、2分の1の確率で白毛馬が生まれているということになります。
ゴールドシップの毛色は芦毛ですが、13歳となった現在は真っ白な馬体になっています。シラユキヒメが芦毛であるクロフネとの間に多くの白毛馬を産んだように、芦毛と白毛の両親からは白毛馬の生まれる確率が高まるのかもしれませんね」(同)

日本ではソダシやメイケイエールなどのシラユキヒメ一族が隆盛を誇るが、実は代を経るごとに白毛が出る確率は下がっている。
シラユキヒメの産駒は12頭中10頭が白毛で、白毛率は80%を超えていたが、孫世代は現時点で50%を下回った。さらに、サンプル数は8頭と少ないが21年までに生まれた曾孫世代は8頭全てが白毛以外となっている。
「この流れで行くと、シラユキヒメ一族の白毛馬の数は、さらに減っていく可能性があります。一方、サトノジャスミンの牝系は強い遺伝力を持っているようで、先日生まれたサトノジャスミンの牝駒から見ると、なんと6代母から白毛が続いています。案外、日本で“白毛一族”として栄えていくのはサトノジャスミンの方になるかもしれませんよ」(同)
もちろん生産者にとって真の目的は白い馬をつくることではなく、強い馬をつくることだ。それでも話題性という点で、ターフに映える白毛馬が減少するとなれば、寂しい限り。
現在、有力種牡馬で芦毛の馬体を持つのはゴールドシップくらい。白毛馬が今後日本で繁栄するかどうかのカギはゴールドシップが握っているのかもしれない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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