
JRA「最後の親孝行」は、最有力コントラチェックにあらず!? 中山記念(G2)藤沢和雄調教師へ捧げる、弟子からの恩返し
「競馬はスピード。ダートとか芝とか関係ない」(『日刊スポーツ』より引用)
今月いっぱいをもって定年を迎え、引退となる藤沢和雄調教師の言葉だ。かつてミホノブルボンを育て上げた故戸山為夫元調教師も、同じような言葉を残していたことをふと思い出した。時代が変わっても競馬には普遍的なものがある事を、34年に渡る調教師生活の中で証明し続けた。まさに名伯楽だった。
そんな藤沢和師にとってラストレースとなるのが、27日に中山競馬場で行われる中山記念(G2)だ。意外にも、この中山記念は藤沢和師が勝てていない重賞の一つでもあるが、今回は3頭出しで有終の美を飾りたいところだろう。

“親孝行”の最有力候補としては、やはり中山で重賞勝ち経験のあるコントラチェックだが、レッドサイオン(せん6、美浦・藤沢和雄厩舎)も面白い存在と見ている。同馬の母レッドベルフィーユも藤沢和師が管理した縁ある血統だ。全4勝の内2勝を挙げているのが、この中山の舞台であり、距離短縮も3勝している得意パターンでもある。
前走の白富士S(L)は、1着のジャックドールが勝ち時計1分57秒4の好タイムをマークしたハイレベルな一戦だった。道中は勝ち馬の後ろ2番手を追走し、最後の直線では失速して7着に敗れたが、それでも走破タイム1分58秒1は立派な内容だ。また、同レースに出走し10着に敗れた同厩舎のランフォザローゼスが、先週のダイヤモンドS(G3)で11番人気ながら2着に好走したことで、レースレベルの価値も高まっている。
美浦ウッドで行われた最終追い切りは、同じく中山記念に出走予定の僚馬ゴーフォザサミットとの併せ馬。レッドサイオンが追走する形で6ハロン84秒5-11秒8で併入した。管理する藤沢和師も「気配はいいし、動きも良かった」と褒めつつ「前走も強い馬についていく競馬で、内容は悪くなかった」と評価しており、軽視は禁物だ。
さらに藤沢和師のラストレースに一花咲かせたいのは、前走から引き続き手綱を取る弟子の木幡育也騎手だ。
木幡育騎手は2018年に引退した木幡初広騎手の三男で、長兄・初也騎手、次兄・巧也騎手らとともにJRAで活躍している。デビュー時から藤沢和厩舎に所属しているが、1年目から度重なる不祥事により、騎乗停止処分を2回も受けたことで、師の顔にも泥を塗ってしまった過去がある。
そんな同騎手も、2月いっぱいで定年解散となる藤沢和厩舎を離れ、3月1日からフリーとなる。デビュー6年目でいまだ重賞勝利はないが、迷惑をかけながらも面倒を見てくれた師に対しての感謝の想いがあるはずだ。
泣いても笑っても、藤沢和師にとって最後のレースとなる中山記念。様々な想いを胸に挑む弟子が、師へ捧げる最後の恩返しを重賞初勝利という最高の形で締め括ることができるか。感動のフィナーレを期待したい一戦となりそうだ。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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