JRA「覚醒」岩田望来が川田将雅、C.ルメールを猛追!?「連敗地獄」から抜け出した若武者が調教師大絶賛の“神騎乗”で1日4勝大爆発!
26日、2022年も今週の開催で2か月が終わろうとしているが、熾烈な争いを繰り広げているのが「騎手リーディング」だ。
主役はもちろん5年連続リーディングジョッキーのC.ルメール騎手、そして3年連続2位に甘んじている川田将雅騎手。序盤こそ川田騎手が一歩リードしていたが、先週20日にルメール騎手が4勝を挙げると、ついに“定位置”へ返り咲いている。
しかし、今週はルメール騎手がサウジアラビアで騎乗するため不在。川田騎手にとっては「鬼の居ぬ間に」勝ち星を荒稼ぎしておきたいところでこの日は3勝と、さすがの貫禄を見せつけた。
ただ、そんな川田騎手よりもさらに勝ち星を荒稼ぎした騎手がいる、若手の岩田望来騎手だ。
「流れが向いたし、乗り方も完璧だった」
この日のメインだった仁川S(L)のレース後、勝ったグレートタイムの藤原英昭調教師から絶賛された岩田望騎手は、これがこの日4勝目。川田騎手と同じ阪神に参戦しながらも2人で勝ち星を分け合うかの如く、荒稼ぎに成功した。
まずは1Rで3番人気のウィシンクアスクに騎乗すると、好位からしぶとく粘りこみ。川田騎手との接戦をハナ差で制し、若武者が勢いに乗った。
1番人気のバトルクライに騎乗した5Rでは、打って変わって後方からの差し切りで2勝目。さらに8Rでは、逃げ切りを図った同期の団野大成騎手をきっちりと捉えて3勝目。そして、11Rの仁川Sでは調教師も絶賛する好騎乗で、この日怒涛の4勝目を挙げている。
「いやあ、乗れてますね。やはり先週の京都牝馬S(G3)で重賞初制覇を飾ったことが大きいのかも。デビューから挑戦すること97連敗と、本人も『すごくホッとした』と話していた通り、相当気にしていたようですから。今は“枷が外れた”というか、不安が解消されて、目の前の騎乗により集中できているのかもしれません」(競馬記者)
これで今年27勝とし、リーディング3位に浮上した岩田望騎手。この日の3勝で今年32勝とし、30勝のルメール騎手を交わして再びリーディングトップに立った川田騎手だが、そのすぐ後ろには勢いに乗った若武者が迫っている。
「今年の岩田望騎手の好調ぶりを支えているのが、父・康誠騎手譲りの『勝ち切る力』ですね。川田騎手との接戦を演じたこの日の1Rもそうでしたが、今の岩田望騎手は接戦をことごとく勝ち切っている印象です。
リーディング6位に終わった昨年も若手としては立派でしたが、88勝を挙げたことに対して2着が110回、3着も102回と、どこか勝ち切れない印象でした。まだ2か月ですが、今年の岩田望騎手はさらに一皮むけたんじゃないでしょうか」(別の記者)
実際に今年の岩田望騎手は、ここまで27勝を挙げながらも2着は11回しかない。
これはルメール騎手の28回、例年勝負強さが光る川田騎手の18回より、さらに少ない数字だ。上位2人よりも騎乗馬の質が下回っていることは明らかだが、その分、少ないチャンスを勝ち切ることで食い下がっている。また、騎乗数も156回は松山弘平騎手に次ぐ2位と周囲からの信頼感も厚い。
「リズム良く運べて、展開も向きましたね」
この日の仁川Sの勝利騎手インタビューにそう答えた岩田望騎手。「賞金を加算できてよかった」と話した通り、相棒グレートタイムにとっては貴重なリステッド2勝目。これで主戦騎手にとっては、重賞に挑戦できるお手馬をまた1頭獲得したことになる。
ここ3年間、ルメール騎手と川田騎手との一騎打ちが続いているリーディングジョッキー争い。今年は勢いに乗った“新風”が割って入るかもしれない。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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