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JRA岩田康誠「優等生コメント」で前哨戦快勝もスッキリとはいかず……、「モヤモヤ競馬」当事者の明暗に心中複雑?

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岩田康誠騎手

 先月の27日、阪神競馬場で行われた阪急杯(G3)は、岩田康誠騎手とダイアトニック(牡7、栗東・安田隆行厩舎)のコンビが、1番人気に応えて見事な先行押し切り。高松宮記念(G1)の重要ステップを完勝したことで、本番でも上位人気が確実となるだろう。

 岩田康誠がダイアトニックに騎乗する“因縁”対決

「前回金杯に乗せて頂いて、刺激を与えられての結果だと思います。低迷はしていましたが、厩舎関係者、牧場関係者のみなさんの熱い思いがこの勝利につながったのだと思います」

 レースを振り返った岩田康騎手は、初コンビとなった京都金杯(G3)で12番人気まで評価の下がっていた馬を4着に好走させただけでなく、2戦目で早くも勝利へと導いたが、ダイアトニックに携わった関係者にも感謝の言葉を忘れなかった。問題ある言動で話題にも上がった騎手だが、馬や関係者に対しては優等生を思わせる言葉だろう。

岩田康誠騎手の判断にファンはドキドキ?

 だが、快勝したとはいえ、一歩間違えれば脚を余したまま敗れてしまう可能性があったことも確かだ。

 14頭立ての芝1400m戦。6枠10番から絶好のスタートを決めたダイアトニックは、先頭に立つほど勢いながら、他馬に競り掛けられると岩田康騎手は一旦控える選択。最内に潜り込むことには成功したものの、最後の直線では窮屈になるシーンもあった。

 運よく内ラチ1頭分だけ空いたスペースをこじ開けることに成功したため、事なきを得たものの、見ている側からしたら冷や冷やさせられる進路取りにも思える騎乗だった。

 本人曰く、「力があるからこそ瞬発力で狭いところも割って行けました。脚が無ければ自爆というか、おじゃんになってしまうので、馬の脚に感謝したいです」と触れていただけに、馬の力に助けられた勝利だったともいえる。

 最後に「2年前はクリノガウディーであり、この馬でありモヤモヤな競馬をしましたが、正々堂々と挑めるんじゃないかと思います」と締めた岩田康騎手だったが、やはりもう1頭のパートナーも気にしていたようだ。

一時はスランプを脱したクリノガウディーだったが……

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 コメント中に出て来たクリノガウディーもまた、岩田康騎手の尽力をきっかけにスランプから脱した馬である。惨敗を繰り返していた昨春、初コンビから2連勝、3戦目のセントウルS(G2)でも3着導いた功労者でもあった。

 しかし、今回はダイアトニックも同じレースに出走したため、かつてのパートナーは福永祐一騎手を鞍上に迎えて参戦したものの、見せ場さえ作れずに14頭中14着の最下位に敗れてしまった。

 これには福永騎手も「レースはスムーズでした。掛かるところもありませんでした。3着馬の後ろでリズム良く運びました」と敗戦を不思議がっていたものの、近走の結果を考えると、また長いトンネルに迷い込んだのかもしれない。

 また、先述した岩田康騎手が触れた“2年前のモヤモヤな競馬”とは、一昨年の高松宮記念で1位入線したクリノガウディーが、最後の直線コースで内側に斜行し、ダイアトニックとモズスーパーフレアの進路を妨害したことにより、4着に降着となった一件だろう。

 願わくは因縁の2頭が揃って阪急杯を好走した上で、本番で再激突してもらいたかったのだが、当時の「被害馬が優勝」で「加害馬が最下位」という、極端な結果に終わってしまったことは残念というしかない。

 どちらにも思い入れのある再生請負人・岩田康騎手としては、心中複雑だったのではないだろうか。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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