JRA「責任を感じています」浜中俊“悪夢”のフィリーズレビュー(G2)でまたも斜行……単勝1.7倍ナムラクレア痛恨の敗戦も「5年前」から繋がる物語
13日、阪神競馬場で行われた桜花賞トライアル・フィリーズレビュー(G2)は、2番人気のサブライムアンセム(牝3歳、栗東・藤原英昭厩舎)が勝利。1勝クラスから2連勝を決め、桜花賞(G1)へ高らかと存在をアピールした。
「(最後の直線は)狭いところだったんですけど、抜け出してくれました。成長段階でこれだけ走れるのは、能力のある証拠ですね」
レース後、池添謙一騎手からそう称えられたサブライムアンセムは、コディーノ、チェッキーノといったG1・2着馬を近親に持つ良血馬。一族悲願のG1制覇へ、まずは大きな一歩を踏み出した。
一方、浜中俊騎手にとって痛恨の敗戦を喫してしまったのが、1番人気のナムラクレア(牝3歳、栗東・長谷川浩大厩舎)だ。
「ここは落とせないと思っていたので、結果を出せず責任を感じています」
1勝馬も数多くいたメンバーで唯一の重賞ホースであり、前走は阪神ジュベナイルF(G1)5着。単勝1.7倍の大本命だっただけに2着とはいえ、鞍上はレース後に頭を下げた。
15頭立ての芝1400mのレース。スタートを決めたナムラクレアだったが、無理せず中団から。最終コーナーで外に持ち出されると、最後の直線では懸命に追い上げたものの、馬群を縫うように突き抜けたサブライムアンセムにアタマ差及ばなかった。
「昨年12月の阪神JF以来の休み明けでしたが、浜中騎手が『落ち着きがあって、いい雰囲気』と振り返っていた通り、仕上がりは悪くなかったですよ。ただ、プラス12kgが示す通り、あくまでトライアル仕様の仕上がりでしたね。最後届かなかったのは、その分だと思いますし、決して悲観する結果ではなかったと思います」(競馬記者)
それでも浜中騎手が肩を落としたのは、やはり勝負どころの4コーナーで大きく膨らんだせいか。その結果、直後にいたモチベーションとサウンドクレアの進路をカットする形に……。
レース後には、JRAから「4コーナーで外側に斜行したこと」について過怠金処分が下っている。
「昨年、同じ阪神1400mのファンタジーS(G3)でも、“その”兆候が少しありました。前走の阪神JFでは上手く回れていたので右回りがダメということはなく、コーナーで加速すると膨れてしまう面があるのかもしれません。浜中騎手も勝負どころなので出していきましたが、今後の課題になりそうです」(別の記者)
浜中騎手とフィリーズレビューといえば、やはりレース後の「もういいでしょう」発言に揺れた2017年のレーヌミノルが有名だ。
最後の直線で先頭を走っていたレーヌミノルだったが、ゴール前で急激に斜行。他馬の進路を遮ったとしてレース後、浜中騎手には騎乗停止処分が下った。浜中騎手にとっては、前年のミッキーアイルとのコンビで挑んだマイルCS(G1)に続く、大レースでの斜行による騎乗停止。本人も十分に自覚していたからこそ、レース後の取材を拒否してしまった。
実はレーヌミノルとナムラクレアには、いくつか共通点がある。
浜中騎手とのコンビで小倉2歳S(G3)を勝っていること。そして、フィリーズレビューで単勝1倍台の1番人気に推され、さらに2着に敗れたことだ。ましてやナムラクレアは、あのミッキーアイルの産駒。ファンにしても「今度こそ」という思いがあったに違いない。
それも5年前、騎乗停止となった浜中騎手に替わって、レーヌミノルを桜花賞馬へ導いたのが、この日サブライムアンセムに騎乗していた池添騎手である。
あれから5年。斜行してしまったことは本人にとっても大きな反省材料だが、それでも“無事”に相棒と桜花賞を迎えることができそうな浜中騎手。「騎手を辞めたい」とまで苦しんだ5年前の“ストーリー”がまだ繋がっているのなら、ナムラクレアにも逆転のチャンスがあるはずだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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