JRA「高額馬が走らない」原因は馬ではなく人!? 毎日杯(G3)「5億円馬」リアド惨敗、武豊が託された「6億円馬」の二の舞も…
26日、阪神競馬場で行われた毎日杯(G3)は、単勝4番人気に支持されたピースオブエイトが逃げ切り勝ちでデビュー戦から無傷の3連勝を達成。賞金加算に成功し、クラシック出走に大きく近づいた。
一方、単勝2番人気に支持されながらも、5着に敗れてしまったのがリアド(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)である。
リアドは2019年のセレクトセールで5億760万円(税込)にて落札された超高額馬。デビュー以前から注目を集め、新馬戦ではその期待に応えて3馬身差の圧勝を演じた。
しかし、次走の若駒S(L)では単勝オッズ1.7倍の圧倒的支持を受けたものの、リューベックの2着に敗れてしまう。管理する友道師は、ここを勝利してトライアル、そしてG1へと駒を進める青写真を描いていたようだが、目論見が外れる形に……。
クラシック出走に向けて、今回の毎日杯は何が何でも勝利が欲しい状況であった。ところが、レースでは渋った馬場も応えたか、直線で伸びきれず惨敗。超高額馬としての期待に見合った結果は、今のところ残せていない。
活躍しきれない高額馬というと、武豊騎手が故・近藤利一さんから託されたともいわれるアドマイヤビルゴ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎)に重なる部分がある。アドマイヤビルゴは2017年のセレクトセールにて、歴代2位となる6億2640万円(税込)で落札された馬である。当然デビュー以前から大きな注目を集めたが、クラシックの舞台には届かず。その後は条件戦を突破しOP入りを果たしているものの、現在まで重賞で目立った実績は残せておらず、値段に見合った活躍ができているとは言えない。
リアドとアドマイヤビルゴはともに友道厩舎の所属馬、ディープインパクト産駒という部分で共通している。現状のリアドの成績では、アドマイヤビルゴの「二の舞」とみられても仕方ないだろう。
度々「高額馬は走らない」と言われることがある。もちろん中にはサトノダイヤモンド(2億4150万円)やワールドプレミア(2億5920万円)のように、G1を制した高額落札馬も存在する。とはいえ、3億円を超える「超高額馬」からはG1はおろか、重賞ウィナーですら1頭も出ていない。
高額馬の管理には、馬を預かる調教師や厩舎スタッフにも相応のプレッシャーがかかる。当然オーナー側の期待も大きいだけに、デビューして結果が伴わないのならともかく、デビューすら叶わない状況は絶対に避けなければならない。故障の発生を過度に恐れてしまっては、デビュー前の時期から思い切った調教を課すことは難しくなってしまう。
昨年、1億円越えの高額馬を多数落札して話題を集めた藤田晋オーナーもこの点を留意してか、「私の馬は金額のことは忘れて『ビシバシと』鍛えてほしい」と『スポーツ報知』内のコラムに綴っている。
また、先に挙げたリアド、アドマイヤビルゴは年々数を減らしていた「ディープインパクト産駒」である点が過度に評価されて価格が跳ね上がった側面もある。今年デビューする世代はディープインパクトにとってはラストクロップ、日本で血統登録された馬はわずかに6頭である。
この中には3億3000万円で取引されたオープンファイア(ゴーマギーゴーの20)や2億2000万円のスイープアワーズ(スイープトウショウの20)といった高額馬も存在するが、「最後のディープインパクト産駒」という希少性を含んだ取引額であることは留意したい。
当然ながら高額で取引された馬たちは、デビュー以前から大きな期待と注目を集める。だが実際に、そうした馬が期待に応える活躍をみせるケースは数少ない。特に2歳馬、3歳馬のレースでは先日の毎日杯のように、話題先行の高額馬が過剰な人気を集めることも多い。馬券の購入にあたっては馬の価格に惑わされずに、その素質や能力を見極めていきたいものである。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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