JRA松山弘平は間に合うのか…「待望復帰」デアリングタクトVS「復活」ソダシ! 新旧女王対決に「世界的スプリンター」が参戦! 今年はヴィクトリアマイル(G1)が熱い
31日、牝馬三冠馬のデアリングタクト(牝5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)が、5月15日のヴィクトリアマイル(G1)での復帰を予定していることがわかった。『日刊スポーツ』が報じている。
一昨年に史上初となる無敗・牝馬三冠を成し遂げたデアリングタクト。昨年は金鯱賞(G2)、香港のクイーンエリザベス2世C(G1)でまさかの連敗を喫したが、その後に右前脚の繋靱帯炎が発覚。1年以上の長期休養となったが、ようやく復帰にこぎつけた。
ファンにとっても待望の復帰戦となるが、注目されるのはその鞍上だ。
主戦の松山弘平騎手が12日に落馬負傷。今週も騎乗予定がないだけに、復帰が間に合うかが心配されている。デビューから一貫して松山騎手が騎乗してきたが、場合によっては新コンビ結成もありそうだ。
その一方で牝馬三冠馬の復帰戦として、俄然注目度が高まってきたのがヴィクトリアマイルだ。
一昨年は単勝1.4倍のアーモンドアイが4馬身差の圧勝。昨年も単勝1.3倍のグランアレグリアが同じく4馬身差。言葉を選ばなければ、ここ数年のヴィクトリアマイルは、さらなるG1タイトルを狙う超一流牝馬の“通過点”のようなレースになってしまっている。
無論、牡馬との戦いを避けて牝馬限定重賞を戦ってきた馬たちと、一線級の牡馬相手にG1を勝ってきた馬とではレベルに差があり過ぎるからこその結果だ。しかし、まさかここまで「強い牝馬」が幅を利かせる時代になるとは、かつて牝馬路線の充実を図ってレースを創設したJRAとしても想定外だろう。一部のファンからは「G2でもよいのでは?」という声まで上がる始末だ。
「その(ヴィクトリアマイル)後は宝塚記念を予定しています」と岡田スタッドグループの岡田牧雄代表が明かしたデアリングタクトも、その流れに続きたいところ。だが、今年は少し様子が異なるようだ。
復帰戦を迎える三冠牝馬の前に立ちはだかる筆頭は、白毛の女王ソダシ(牝4歳、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
昨年、デアリングタクトが休養している間に白毛のアイドルとして競馬界を盛り上げたソダシ。昨秋の秋華賞(G1)、チャンピオンズC(G1)こそ大敗続きだったが、今年2月のフェブラリーS(G1)で3着と復調の気配を見せている。
何より特筆すべきは、マイル適性の高さだろう。芝の1600mはここまで3戦して阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)、桜花賞(G1)を含む全勝。特に桜花賞では従来のレコードを0.8秒も更新する快速ぶりを見せた。毎年、高速馬場で迎えるヴィクトリアマイルへ適性は高く、デアリングタクトにとっても、そのスピードは要警戒だ。
本来なら「デアリングタクトVSソダシ」の2強対決となってもおかしくなかった今年のヴィクトリアマイル。だが、ソダシ以上のスピードを感じさせるソングライン(牝4歳、美浦・林徹厩舎)は2頭にとっても脅威の存在だ。
今年2月にサウジアラビアで行われた1351ターフスプリント(G3)を制し、そのスピードを世界に見せつけたソングライン。今回は1351mから1600mへの距離延長となるが、東京マイルは3戦2勝2着1回と得意にしている。富士S(G2)勝ちに加え、2着もNHKマイルC(G1)でシュネルマイスターとハナ差なら、実績は申し分ない。
また、27日の高松宮記念(G1)で2着だったロータスランド(牝5歳、栗東・辻野泰之厩舎)も、ここに割って入れるだけの充実ぶりを見せている。
クビ差2着に敗れはしたものの高松宮記念で1200m初挑戦と、元々1400mから1600mが主戦場のロータスランド。昨年の関屋記念(G3)を1:32.7の好時計で快勝しており、左回りのマイル戦の高速決着はお手の物だ。陣営は状態次第でここから安田記念(G1)へ向かうプランを公表しているが、今の充実ぶりなら番狂わせを起こせる下地は揃っている。
アーモンドアイにグランアレグリアと、ここ2年は大本命馬の“準備運動”のようなレースになってしまっていたヴィクトリアマイル。だが、今年はG1らしい頂上決戦が見られることになりそうだ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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