GJ > 競馬ニュース > 「重賞24連敗」C.ルメールから飛び出した“愚痴”…皐月賞(G1)を「本気」で勝ちにいく理由と、「不調ではない」からこそ深刻な現役No1騎手の現在地
NEW

JRA「重賞24連敗」C.ルメールから飛び出した“愚痴”…皐月賞(G1)を「本気」で勝ちにいく理由と、「不調ではない」からこそ深刻な現役No1騎手の現在地

JRA「重賞24連敗」C.ルメールから飛び出した愚痴…皐月賞(G1)を「本気」で勝ちにいく理由と、「不調ではない」からこそ深刻な現役No1騎手の現在地の画像1
C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 13日に美浦トレセンで行われた皐月賞(G1)の共同会見で、C.ルメール騎手が思わず苦笑いを浮かべた。

 騎乗する「4強」の一角イクイノックス(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)についての質問が一通り終わった後、ルメール騎手が今年ここまでJRAで重賞を勝てていないことに話が及んだのだ。

 ルメール騎手が最後にJRAの重賞を勝ったのは、昨年12月のチャンレンジC(G3)。ここまで実に24連敗中だ。ちなみに昨年は当該週までにフェブラリーS(G1)勝ちを含む重賞4勝、一昨年も重賞5勝、3年前は3勝だったが前週の桜花賞(G1)を勝利している。記者から、やや意地悪な質問が飛んだのも致し方ないといったところか。

 無論、そのことについてはルメール騎手も「今年、日本ではまだ重賞を勝つことができてない」と自覚しているようだ。続けて「海外でたくさん自信を持てました」と今年のサウジアラビアやドバイで重賞を勝っていることを強調している。

 しかし、実は「重賞24連敗中」という数字ほど、ルメール騎手が不調ではないかもしれない。

 

不調ではないからこそ深刻なルメール騎手の現状

 

 【34.17.9.9】これは昨年12月4日、ルメール騎手が最後の重賞勝ちを飾るまでの2021年における重賞騎乗馬の人気である。69回の騎乗の内、1番人気が約半数の34回。ライバル筆頭の川田将雅騎手でさえ65回中の20回に留まっているのだから、さすが5年連続のリーディングジョッキーといえる人気ぶり、そして関係者からの信頼の厚さだ。

 その一方、連敗期間中のルメール騎手の重賞騎乗馬の人気は【7.6.0.11】。24回の騎乗で1番人気7回はまずまずと言えるかもしれないが、気になるのは4番人気以下が11回もあることだ。しかも、その内6回は7番人気以下の人気薄である。

 ちなみに先述した69回の重賞騎乗で7番人気以下は「ゼロ」。ルメール騎手が「でも、やっぱりいい馬は必要ですし、ラックも必要ですね」と、思わず“愚痴”を溢したのも無理はないだろう。いくら現役No.1ジョッキーでも、勝てない馬では勝てないのだ。

 ここまで騎乗馬の質に大きな差がついた主な原因は、コロナ禍におけるルメール騎手の積極的な海外遠征の影響だろう。

 本人も話している通りサウジアラビア、ドバイでの重賞勝利は大きな自信になったに違いないが、その一方で新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、帰国後の隔離期間が不透明な時期が続いた。

 そのため、日本の各陣営もルメール騎手がいつから乗れるのかが判断できず、大切な有力馬を任せることができなかった背景がある。そこにサウジアラビア帰国後には本人が陽性となり、ドバイ帰国後には奥さんに陽性反応が出るなど、ここ最近の「ルメール」はとにかく不安定アイコンになってしまっているのだ。

JRA「重賞24連敗」C.ルメールから飛び出した愚痴…皐月賞(G1)を「本気」で勝ちにいく理由と、「不調ではない」からこそ深刻な現役No1騎手の現在地の画像2
イクイノックス 競馬つらつらより

 そんなルメールが、今週の皐月賞で騎乗するイクイノックスについて「たぶん、今の僕が乗れる一番強い馬です」と話したことは、本騎手の“現在地”を測る上で実に興味深い発言だ。

 今年、ルメール騎手が騎乗して重賞で1番人気に推された馬は、シンザン記念(G3)のラスール、京成杯(G3)のアライバル、AJCC(G2)のオーソクレース、東京新聞杯(G3)のファインルージュ、共同通信杯(G3)のジオグリフ、京都牝馬S(G3)のスカイグルーヴの6頭。

 改めて振り返ると、菊花賞(G1)2着の実績があったオーソクレース以外は、意外に心許ないメンバーであると感じたファンも多いのではないだろうか。中には「ルメール騎手だから」1番人気に推された馬もいるだろう。

 逆に言えば、現在のルメール騎手の「騎乗馬の質」がそれだけ大きく低下しているとも言える。先週の桜花賞(G1)も12番人気のフォラブリューテで14着と、現役No.1ジョッキーとは思えない存在感のなさだった。

「全部勝ちたいですけど、競馬で勝つことは難しいです。だから我慢しないといけないです」

 そう共同会見を閉めたルメール騎手。果たして、5年連続のリーディングジョッキーの巻き返しはここから始まるのか。それともまだ「我慢」の時は続くのか。自身が「G1級」「今の僕が乗れる一番強い馬」と評価するイクイノックスの皐月賞は、現在のルメール騎手にとって極めて重要な一戦になりそうだ。

(文=浅井宗次郎)

<著者プロフィール>
 1980年生まれ。大手スポーツ新聞社勤務を経て、フリーライターとして独立。コパノのDr.コパ、ニシノ・セイウンの西山茂行氏、DMMバヌーシーの野本巧事業統括、パチンコライターの木村魚拓、シンガーソングライターの桃井はるこ、Mリーガーの多井隆晴、萩原聖人、二階堂亜樹、佐々木寿人など競馬・麻雀を中心に著名人のインタビュー多数。おもな編集著書「全速力 多井隆晴(サイゾー出版)」(敬称略)

JRA「重賞24連敗」C.ルメールから飛び出した“愚痴”…皐月賞(G1)を「本気」で勝ちにいく理由と、「不調ではない」からこそ深刻な現役No1騎手の現在地のページです。GJは、競馬、, , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

23:30更新
  • 競馬
  • 総合
  1. JRA内田博幸「戸崎ブチギレ騒動」から遺恨“独立”で引退危機!? エージェント“不条理”解約に「義理を通すなら……」
  2. JRAマイネル軍団総帥・岡田繁幸さん逝く。武豊「僕の原点、この馬と一緒に全国区になった」絶体絶命だった天才を世に放った偉大な決断と信念【特別寄稿】
  3. 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
  4. 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
  5. 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
  6. 「素行不良」で干された若手の更生に関西の大御所が名乗り! 福永祐一を担当した大物エージェントもバックアップ…関係者から「優遇され過ぎ」の声
  7. 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
  8. 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
  9. 岩田康誠「キレ散らかし」返答にインタビュアーもタジタジ…名手が信じたドウデュース世代の実力馬が有馬記念前に答え合わせ
  10. 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!