JRA武豊エアグルーヴ以来のオークス(G1)制覇へ、ウォーターナビレラの「成長力」に期待。「早熟説」のデビュー3連勝馬が伸びしろ十分の理由
22日に東京競馬場で行われるオークス(G1)。ウォーターナビレラ(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)に騎乗する武豊騎手は、今週水曜日の共同会見で自信のコメントを残した。
「この世代のトップレベルにいる1頭だと思いますし、チャンスのある1頭だと思います」
世代トップレベルという評価は、その戦歴を見ても疑いようのない事実だろう。デビューから6戦3勝、前走・桜花賞(G1)では勝ちに等しいハナ差の2着。今後の活躍次第では、この世代の牝馬が「ウォーターナビレラ世代」と呼ばれるようになるかもしれない。
ただし、オークスに挑むにあたって不安要素となり得るのが、ウォーターナビレラにとって未知となる2400mの距離だろう。実際に、武騎手は「やってみないとわからないところはあります」と距離延長への不安を隠していない。800mの延長はマイナスになることはあっても、プラスになることは無いというのが大方の見方だ。
ただし、距離克服には必要不可欠な折り合いに関して、武騎手は落ち着きが出てきていることを強調している。道中無駄な消耗を避けることができれば、再び上位争いを演じても何ら不思議はないだろう。
そして何よりウォーターナビレラには「伸びしろ」が期待できるという。
ウォーターナビレラは、まだ2歳馬?
2歳時から活躍しており、同馬はどちらかというと仕上がりの早いイメージもあるが、一体どういうことなのか。
「ウォーターナビレラは昨夏の札幌でデビュー勝ちし、とんとん拍子で3連勝したことから早熟のイメージがあるかもしれません。しかし。本馬の誕生日は5月27日と、かなりの遅生まれです。
馬の世界では1月1日に一斉に年を取るので、ウォーターナビレラはもちろん3歳馬なのですが、実際はオークスの5日後に3度目の誕生日を迎えます。つまり今年の登録メンバーの中では唯一の“2歳馬”と言っても間違いではありません」(競馬記者)
2歳の早い時期から高いパフォーマンスを発揮していたウォーターナビレラだが、実際は心身ともにかなり幼い状態、つまり未完成の状態で走り、結果を残していたと言い換えることもできるかもしれない。
共同会見で武騎手が発した「初めて乗った時は、まだ身体が全体的に華奢というか、力強さもそれほど感じなかったですし、硬さもありました」という言葉はその裏付けと言えるだろう。
「2歳の時ならともかく、3歳春ともなれば、遅生まれは大したハンデにならないでしょう。むしろ成長曲線という点で早生まれの馬よりも上昇度に期待できると思います」(同)
武騎手にとって、五大クラシックの中で最も勝利から遠ざかっているレースがこのオークスだ。最後の戴冠はエアグルーヴとのコンビで制した96年で、その後はなんと19連敗中である。
もし、まだ実質“2歳馬”のウォーターナビレラが急激な成長曲線を描いていれば、樫の女王の座に就くことも現実味を帯びてくるだろう。武騎手の26年ぶりオークス制覇はなるか。日曜が待ちきれない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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