GJ > 競馬ニュース > 「川田が選んだ」で過信禁物!? アートハウスが過大評価と言えるワケ
NEW

「川田が選んだ」で過信禁物!? アートハウスが過大評価と言えるワケ

【この記事のキーワード】, ,
「川田が選んだ」で過信禁物!? アートハウスが過大評価と言えるワケの画像1
アートハウス

 22日に東京競馬場で牝馬クラシックの第2戦、オークス(G1)が行われる。

 例年同様、桜花賞(G1)組が人気の中心となる中、注目は何といっても別路線組のアートハウス(牝3、栗東・中内田充正厩舎)だろう。同馬は重賞未経験ながら『netkeiba.com』の単勝予想オッズでは、桜花賞2着ウォーターナビレラ、桜花賞1番人気のナミュールらを抑えて現在3番人気に支持されている。

 人気の要因としては、前走の忘れな草賞(L)の鮮やかな勝ちっぷりもさる事ながら、今回騎乗する川田将雅騎手が、桜花賞馬スターズオンアースではなく、アートハウスに騎乗する事が大きく関係しているのは間違いないだろう。

 それなりに騎乗機会がある騎手であれば、複数のお手馬が同一レースに出るというのは日常茶飯事だ。その際、主戦が騎乗した馬の方が勝てる見込みがあるだろうと、見る側が考えるのは当然。実際に、騎手自身、或いはエージェントが勝てる可能性が高い馬を選んでいるケースも往々にしてあると思われる。

 今回は、それに加えて”乗らない方”が桜花賞馬スターズオンアースという事で注目度はより過熱。G1を勝った相棒を蹴ってまで乗る馬となれば、とんでもなく強いに違いないとファンが想像するのは無理もないだろう。

 ただ今回の川田騎手の選択については、同騎手自身が共同会見で経緯を説明している。

川田騎手が語った「アートハウス選択」の真意

 

「アートハウスの母で、現役時代に自身も騎乗したパールコードへの思いを優先しての選択。同馬にG1を勝たせたい」と話しており、今回は単純な実力比較での選択ではない事を強調した。

 それでも前走タッグを組んだスターズオンアースの2冠がかかる舞台で、同馬よりも勝つ見込みの低い馬を選ぶ事は考えづらく、実際には相当自信があるのだろうという見方もできる。そのため、川田騎手の発言があっても、現時点での人気は相変わらずだ。

 ただ、そんな台風の目になりそうなアートハウスだが、気になる点が。

「川田が選んだ」で過信禁物!? アートハウスが過大評価と言えるワケの画像2
川田将雅騎手

 川田騎手は、レース後のコメントで騎乗馬の勝因や敗因について話す際「走りのバランス」という言葉を多用する傾向にある。最近でも、ダノンスコーピオンでアーリントンC(G3)を勝利した際のインタビューでは「前回はバランスが良くなく、競馬にならなかったのですが、今回は道中のバランスが良く、この馬としてはちゃんとした走りができていました」とコメント。

 このように、騎乗馬のバランスについて言及することが多く、馬の調子のバロメーターのような意味合いで受け取ることも出来る。

 そんな中、今回のアートハウスの最終追い切り後のインタビューでは「前走より今回の方がバランスでよくない面が出ています」とコメント。普段から川田騎手は馬の状態について比較的包み隠さずに話すタイプで、その中でも特に重要視していると思われるバランス面で不満というのは少なからず気になる点だ。

 さらに管理する中内田厩舎の、重賞でのレース間隔毎の戦績もネックになる。

 同厩舎の過去5年間の重賞148レースでは、前走から10週以上空いた、いわゆる休み明けでの勝率は27%。対して9週以下での連戦時にはわずか10%となっている。今回のアートハウスと同じ、中5週では11%と間隔が空いた時とは大きな開きがある。

 同厩舎は休み明けからしっかり仕上げてくる事に定評がある一方で、2戦目以降の上がり目が少なくなっているのかも知れない。

 アートハウスは、陣営がデビュー当時からオークスを見据えていたと話す程の期待馬だった。しかし、エリカ賞(1勝クラス)で敗れた事で、オークスに出走するには忘れな草賞を絶対に勝たなければならなくなった。

 結果は見事に勝利したが、先述の中内田厩舎の傾向からすると、必勝態勢の忘れな草賞で高いパフォーマンスを出す必要に迫られた事により、今回は状態面に大きな上積みがないとなると、調教後の川田騎手のコメントにも合点がいく。

 こういった点からも今回は過剰人気と言えるかもしれない。キャリアが少ない分、未知の魅力を秘めて事は確かだが、過信は禁物だ。

(文=椎名佳祐)

<著者プロフィール>
 ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。

「川田が選んだ」で過信禁物!? アートハウスが過大評価と言えるワケのページです。GJは、競馬、, , の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。ギャンブルの本質に切り込むならGJへ!

Ranking

17:30更新
  • 競馬
  • 総合
  1. 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
  2. 【NHKマイルC】アスコリピチェーノ主戦を背に追い切りも「鞍上未定」の怪…レース当週C.ルメール復帰予定、何かしらのサプライズも?
  3. 三浦皇成「これはモノが違う」悲願のG1初制覇が目前で霧散…「今後、ダート界を引っ張る馬になってほしい」宿敵レモンポップへ1年越しの挑戦状
  4. 藤田菜七子「日本ダービー騎乗」は幻に!? 武豊シュガークン×エコロヴァルツ「究極の二者択一」ダービー鞍上問題はスピード決着
  5. 大躍進の「若手騎手」が日本ダービー初騎乗へ!「因縁」川田将雅ジャンタルマンタルはNHKマイルCへ…武豊シュガークンに迫る末脚で優先権獲得
  6. 「シャンパンカラーが勝つよ」昨年のNHKマイルCで9番人気の激走を見抜いた“凄腕”が指定したのは、ジャンタルマンタルでもアスコリピチェーノでもないまさかの激走穴馬
  7. 福永祐一調教師「ジョッキーもうまく乗ってくれた」今村聖奈との初白星含む4戦3勝固め打ち!「号泣」から四半世紀…苦楽を共にした牝馬の孫で勝利
  8. JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
  9. 天皇賞・春(G1)テーオーロイヤルだけじゃない! 皐月賞「大逃げ」メイショウタバル、高松宮記念1番人気ルガルなど「個性派の宝庫」三嶋牧場がスゴイ
  10. 【NHKマイルC】武豊「幸四郎がレース前に水をまいた」弟のG1制覇に手荒い祝福!? 引退後も伝統神事で史上初の平地G1馬として登場したウインクリューガーの記憶