JRA【安田記念(G1)予想】4連勝イルーシヴパンサーは断然消し! シュネルマイスター軽視で浮上してくる実績馬から好配当に期待!
今回は6週連続G1開催の最後を締めくくる、春のマイル王決定戦安田記念(G1)を予想していく。
まずは過去10年、馬券に絡んだ30頭の前走データを見ていきたい。
マイラーズC 6頭
京王杯SC 5頭
ヴィクトリアマイル 4頭
大阪杯(G2時代含む)、海外遠征 各3頭
高松宮記念、ダービー卿CT 各2頭
天皇賞・秋、マイルCS、NHKマイルC、中山記念、安土城S(OP) 各1頭
となっている。前哨戦を順当に使ってきた馬が約半数。前走G1だった一流馬も少なからずいる。特に4年連続で前走ヴィクトリアマイル(G1)を使ってきた馬が2着に入っていることに注目したい。中2週と決して楽なローテーションではないはずだが、お釣りが残っている馬も多いのだろう。
続いて人気順の成績を見ていく。
1番人気 3-3-2-2
2番人気 1-0-1-8
3番人気 1-3-1-5
4~6番人気 1-1-2-26
7~9番人気 4-1-0-25
10番人気以下 0-2-4-64
となっている。1番人気は比較的安定してくる印象で、近5年でも17年以外は必ず馬券に絡んでいる。注目は7~9番人気の中穴クラスが4勝を挙げている点だろう。こちらも近5年に絞っても4頭が馬券に絡んでおり、軽視は禁物だ。最近はないが12年から15年まで10番人気以下の馬が馬券に絡んでいるので、近走実績がありながら人気薄の馬もチェックはしておくべきだろう。
これを踏まえて「◎」は7番ファインルージュとする。
前走はヴィクトリアマイル。遅めのペースで流れたレースで6番手から直線に入り、途中で不利を被りつつも追い上げ2着を確保。
幾度かこの馬について予想で触れてきたが、基本的に買いを推奨したことがない。主にローテーションが理由だったのだが、改めて戦績を見ると良くも悪くも勝ちきれない馬であることがわかる。大敗したのは昨年のオークス(G1)11着だけで、それ以外はすべて馬券に絡んでいる堅実派。だが、一方で勝ち星は3つしかなく、特に近3走はいずれも2着とシルバーコレクターの様相を呈している。
今回に関しては、4年連続でヴィクトリアマイルからの転戦馬が連対していること、かつ安定した走りをしているので勝ちはなくとも勝ち負けを演じる程度には走るはず、と見ての「◎」とした。また、鞍上の武豊騎手の流れがいい。勝ち星を量産しているわけではないが、日本ダービー(G1)をモノにしたほか、今回も騎乗馬がなかったところに代打騎乗として有力馬が回ってきた。こういう流れは無視できない。
「○」は思ったより人気がなさそうな14番ソウルラッシュを挙げる。
前走はマイラーズC(G2)で、澱みのないペースで流れたレースを後方から追い込み、2着を半馬身差交わして勝利している。
昨年秋まではただの1勝馬で新馬戦を勝ち上がって以降、5戦して馬券圏内にすら入らない走りが続いていたが、12月に1勝クラスを勝ち上がって、そこから4連勝で重賞まで制覇してしまった上がり馬。今回は同じ4連勝で臨むイルーシヴパンサーもいるが、ピックアップするのはこちら。
走破タイムが4戦連続して並みの時計なので、そこが懸念する点であり陣営も時計については気にしているようである。とは言え、4連勝のうち3戦はいずれも道悪での勝利で、時計がかかったのは仕方ないところもある。パワー型と陣営は分析しており、確かにその部分はあるかもしれないが、切れる脚はあるので速い流れになっても相応に対応してしまうのではないかと考え、印を打った。
「▲」は人気の一角だが13番ソングラインを推す。
前走はヴィクトリアマイルで、中団から3コーナーで不利を受けるも直線伸びてきて5着まで確保した。
人気しているのは前走での善戦もさることながら、サウジアラビアでG3戦を勝利したことも影響しているのだろう。人気していても推す理由は東京巧者である点だ。阪神では3走前の阪神C(G2)で1番人気ながら15着と大敗しているほか、桜花賞(G1)でもやはり15着と大敗している。ところが、東京コースは5走して2勝2着2回と好相性を見せている。連対を外したのは前走だけで、この成績の中には富士S(G2)勝利やNHKマイルC(G1)2着も含まれている。
陣営もかなり強気なコメントを残しており、中2週ながら調整が上手くいったことを匂わせている。これだけ東京コースと相性が良く、また安田記念も時計勝負になりがちだが、そこもNHKマイルCの時に速い時計での決着で好走しているので不安はない。
「△」は人気の中心であろう9番シュネルマイスター、意外に人気薄の16番レシステンシア、18番ナランフレグの3頭とする。
シュネルマイスターに関しては実績的にメンバー中最上位と言え、3歳馬ながら昨年のこのレースに参戦し3着に入った実力もある。陣営はデキの良さを強調しており、レース間隔も開いているのでそこに不安はないが、いかんせん前走のドバイが負けすぎている。
過去、海外遠征帰りで3頭がこのレースに挑戦し馬券に絡んでいるが、いずれも海外で勝利しての挑戦だった。その点、ドバイで大敗しての挑戦というところに不安があり、押さえはするが印を軽くした。
レシステンシアは前走ヴィクトリアマイルで久しぶりのマイル戦ながら3着と好走してみせ、スプリントだけではないところを披露した。実際3歳時には桜花賞やNHKマイルCで2着しており、そもそも距離不安はなかったと前走を経て言うことはできよう。
ナランフレグは前走高松宮記念(G1)で初重賞制覇、かつ初G1制覇を成し遂げた。近5走の走りも上々で勢いはあると言える。が、この馬に関しては距離不安がつきまとう。高松宮記念からの臨戦馬も過去にいるが、ロードカナロアとグランアレグリアの2頭。いずれも歴史的名馬である。
この馬の場合は芝のマイル戦を走ったことがなく、距離延長という形でここに臨んでくるという違いがある。陣営は仕上がり良好、距離延長も意に介さない様子であるが、1400m戦で勝ち負けも覚束ない走りをしていただけに、不安は残る。厄介なことに血統面で見ると父ゴールドアリュール、母ケリーズビューティはいずれもダート血統。実際、この馬も3歳春までダートを走っていて結果が出なかったため芝に転向して成功した経緯があるので、ダートなら距離延長も可能だろうが、こういう突然変異の馬はどう出るかわからない側面がある。ということで、G1馬ではあるがやはり印を軽くして押さえたい。
人気どころでは8番イルーシヴパンサーを切り。
「○」ソウルラッシュの項で触れたが、この馬も目下4連勝中で皐月賞(G1)まではクラシック戦線に乗ったものの大敗して、自己条件に切り替えたところあれよあれよとオープンまで上り詰めた。
この4連勝がいずれも東京コースでのもので、うち3戦は今回と同じマイル戦。買い要素は十分あると思うが、前走東京新聞杯(G3)というローテーションに実績がない。加えて長期休み明けからの挑戦で昨年の覇者ダノンキングリーと14年2着のグランプリボスが馬券に絡んでいるものの、どちらもG1連対の経験があり元より実績馬という違いがある。
4連勝の勢いは押さえるに十分な理由にはなるが、一介の重賞勝ち馬でG1実績もないというのは大きなマイナス要因である。ここは黙って消したい。
ということで、今回は7番、9番、13番、14番、16番、18番の6頭で3連複BOX20点勝負としたい。
人気馬も押さえているが、今回は今年春のG1戦線を象徴するかのような絶対的な存在がおらず、人気が割れている上にG1馬でさえ人気薄になっているのでどの組み合わせでも好配当は期待できそうだ。
(文=トーラス神田)
<著者プロフィール>
オグリ引退の有馬記念をリアルタイムで見ている30年来の競馬好き。ウマ娘キャラがドンピシャの世代。競馬にロマンを求め、良血馬にとことん目がない。おかげで過去散々な目に遭っている。そのくせ馬券は完全データ派。座右の銘は「トリガミでも勝ちは勝ち」。
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