
JRA札幌2歳Sは「伝説級」のハイレベル!? C.ルメールが「楽勝」匂わせたカルロヴェローチェ以外にも実力馬スタンバイ

宝塚記念(G1)当日に行われる阪神・芝1800mの2歳新馬戦だが、その注目度は年を追うごとに増している。2017年ダノンプレミアム、2020年ダノンザキッドといった後のG1馬はこのレースでデビュー勝ち。昨年は5着に敗れていたキラーアビリティが暮れのホープフルS(G1)を優勝した。
今年の同レースで2番人気の支持を受けて圧勝したのが、C.ルメール騎手を背にデビューしたカルロヴェローチェ(牡2、栗東・須貝尚介厩舎)だ。
デビュー勝ち後のコメントでルメール騎手が「今日はいい勉強になりました。秋が楽しみですね」と振り返ったことからも、2馬身という着差以上に余裕が伝わってくる。3着馬のゴッドファーザーが次走の2歳未勝利を10馬身差で楽勝したことからも、確かにレースレベルの高さを証明するものでもあった。
札幌2歳Sは「伝説級」のハイレベル!?
そのカルロヴェローチェの次走は、9月3日に札幌競馬場で開催される札幌2歳S(G3)へ向かうようである。ルメール騎手も海外渡航から帰国しているタイミングであり、必勝態勢で臨むこととなるだろう。
とはいえ、本馬が出走するからといって「1強状態」となるかどうかは不明だ。
なぜならこのレースにはカルロヴェローチェ以外にも、6月25日に東京競馬場で行われた2歳新馬戦を快勝したシャンドゥレール(牡2、美浦・国枝栄厩舎)やブラストウェーブ(牡2、美浦・大竹正博厩舎)らも出走を予定しているからだ。
エピファネイア産駒の前者は、DMMドリームクラブの所有馬。デビュー戦を勝利した際に手綱を取ったM.デムーロ騎手が「とても強かったです。まだ何もわかってないのに、能力だけで走ってくれました。能力が高いですし、楽しみです」と絶賛したほどの逸材だ。
また、後者は3歳時に出走した2018年の有馬記念(G1)を歴戦の古馬相手に勝利したブラストワンピースの全弟。デビュー勝ちに導いた横山和生騎手が、「まだネジが締まり切っていない緩さを感じます。逆に言えば伸びしろがあります」とコメントしたように将来性十分な素質馬でもある。
まだまだキャリアの浅い2歳馬だけに、どの馬が勝つのかはやってみなければ分からないだろう。
そしてこのまま3頭の激突が実現すれば、例年以上の好レースになることも期待が出来る。
札幌2歳Sは昨年がジオグリフ、一昨年がソダシと2年連続で勝ち馬からG1馬が誕生した出世レース。それ以前にも2005年アドマイヤムーン、2008年ロジユニヴァースなどの名馬も名を連ねている。
さらに、馬齢表記が変更される前の2000年に札幌3歳Sを優勝したジャングルポケットは翌年のダービー馬であり、3着馬テイエムオーシャンは阪神3歳牝馬S(G1)だけでなく、翌年の桜花賞(G1)と秋華賞(G1)も優勝した名牝。いうなれば後のG1馬を多数輩出したレースなのだ。
そういった過去の経緯を踏まえてみても、今年の出走馬から来春のクラシック勝ち馬が出たとて驚けない。そういう意味でも今年は、もしかしたら伝説の新馬戦どころか伝説の札幌2歳Sとなるかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
17:30更新アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- JRA池添謙一「2度結婚」「DV不倫」よりも紆余曲折の騎手人生。オルフェーヴル三冠→外国人で凱旋門賞、勝負強さは当代随一だが……
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- JRA「致命的な不利」に武豊が検量室で怒り爆発!? 後のダービー馬を襲った「痛恨」アクシデント
- JRA G1未勝利騎手の「匂わせ」発言がプチ炎上!? 「もはやトップとかG1への憧れはそんなにない」ファンから批判に晒された騎乗スタンスの真意とは
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!
- 武豊を「激怒」させた地方騎手が心中を吐露……交流G1完全制覇を阻まれた「疑惑」のJBCレディスクラシック(G1)を振り返る
関連記事
JRAラッキーライラック全弟「見せ場なし」の惨敗デビュー…期待の良血が来春へ向けて厳しすぎる船出も、わずかに覗かせた「能力の片鱗」
JRA【函館2歳S(G3)展望】武豊「25年ぶりV」へ、新馬主インゼルレーシングに「電光石火」の重賞制覇をプレゼント!?
JRA福永祐一「早すぎた」G1・2勝の快速牝馬と「コントレイル以上」の未完の大器…道半ばでターフを去った2頭と“血縁”の新馬が迎える「夢の続き」の序章
JRAスミヨン、デムーロ、ルメールが「格の違い」を証明…クビになった中堅騎手が味わった屈辱、あの名牝の全弟がデビュー
JRA福永祐一が「すぐに勝てる」と評した相手に大楽勝、新種牡馬グレーターロンドン産駒が圧巻デビュー…「追い通し」サバイバル制した実力にG1獲りの期待