
福永祐一は今秋も「便利屋」か…失われつつある春の輝き「主戦」として臨むローズS(G2)は“メイチ”騎乗に期待!?

今春のG1戦線ではカフェファラオでフェブラリーS(G1)を、ジオグリフで皐月賞(G1)を制した福永祐一騎手。トップジョッキーの1人として確かな存在感を放っていただけに、秋の更なる活躍を期待するファンも多いだろう。
その福永騎手だが、実は皐月賞を制したのを最後に、重賞レースでは18連敗中と不振に陥っている。加えて今年の重賞レースで勝利を挙げたのは先述のG1・2レースのみであり、その成績は(2-2-2-28)と振るっていない。
福永騎手は20年には重賞レースで11勝、21年には10勝を挙げており、どちらも複勝率は40%超と抜群の数字をマークしていた。それが一転して今年は3分の2を過ぎても馬券圏内は6度のみ、複勝率は17.6%と大きく数字を落としている。
春の2つのG1制覇の印象が強いため見落とされがちではあるが、こうして数字を見ると今年の福永騎手の重賞レースでの成績には物足りないと言わざるを得ない。
そして、この不振の要因の1つとして考えられるのが、有力なお手馬を確保できていないことである。
福永祐一騎手は今秋も「便利屋」か…
言わずと知れた名手である福永騎手は、当然ながら重賞レースでも上位人気の馬への騎乗が多い。だが最近は、有力馬の騎乗は他の騎手からの乗り替わりが目立ち、自らが「主戦騎手」として重賞の舞台まで導いた馬は限られている。
今年の福永騎手は重賞レースで34鞍に騎乗しているが、そのうち約60%の21鞍が他の騎手からの乗り替わりとなっている。思い返せば、今春に福永騎手にタイトルをもたらした2頭も元々はC.ルメール騎手が主戦を務めていた馬であり、福永騎手はその代役としての騎乗であった。
特に現3歳世代では有力なパートナーを長らく確保できておらず、皐月賞を除くこの世代の重賞で福永騎手を背に連対したのは小倉2歳S(G3)のスリーパーダ、サウジアラビアRC(G3)で2着となったステルナティーアの2頭のみ。
この2頭は共にその後大敗が続き、クラシック戦線では存在感を放てなかった。結果的に今春のクラシックにおける福永騎手は有力なお手馬を確保できず、主戦騎手が騎乗できない馬への「代打要員」の立場となっている。
その代打騎乗でG1制覇を成し遂げている点は流石だが、とりわけ現3歳世代ではお手馬と呼べる存在に恵まれていない福永騎手。だが、この苦境を覆す存在として今夏に頭角を現したのが、今週末のローズS(G2)に挑むセントカメリア(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)である。
セントカメリアは未勝利のままに迎えたデビュー3戦目で福永騎手とコンビを組むと、そこから4戦2勝、2着1回と抜群の相性を見せて勝ち上がってきた。
特にあずさ賞(1勝クラス)では、今週のセントライト記念(G2)でも有力視されているガイアフォース、マテンロウスカイの2頭を退けて完勝。前走の月岡温泉特別(2勝クラス)では2着に敗れたものの、ホープフルS(G1)3着の実績を持つラーグルフと半馬身差の走りを見せていた。
この2走の結果を踏まえれば、セントカメリアにも世代上位で通用する能力があるのは明らか。当然ながらローズSでも上位人気の一角と見られている。
福永騎手にとっても、ローズSでのセントカメリアへの騎乗は「主戦騎手」として重賞制覇を成し遂げる絶好のチャンスである。秋華賞(G1)ではエリカヴィータへの騎乗が予定されている点を踏まえても、今回は後先を考えない勝利最優先の騎乗を見せてくれるはずだ。
ここで賞金を加算すればセントカメリアは一気のOP昇級となり、今後は重賞を転戦していくことが可能になる。秋華賞での騎乗が叶わない可能性が高いとはいえ、福永騎手としてもOPクラスの有力なお手馬が増えることは現状打破への大きな足掛かりとなるはずだ。
果たして福永騎手は重賞での連敗記録をストップし、良い流れで秋のG1戦線を迎えることはできるだろうか。夏の上がり馬セントカメリアの「主戦騎手」として臨むローズSでの渾身の騎乗に期待したい。
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